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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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黒月の外側

空が軋んでいた。


 黒い亀裂の向こう。


 そこに浮かぶ巨大な赤い瞳が、ゆっくりと細められる。


『今度こそ、壊してあげる』


 声だけで世界が震えた。


 村の家々に亀裂が入り、木々が倒れていく。


「っ……!」


 レインは《アークヘリオン》を握り締める。


 手が震えていた。


 本能が叫んでいる。


 ――逃げろ。


 あれは戦っていい存在じゃない。


 だが。


 黒騎士が前へ出た。


『……下がれ』


 壊れた声。


 それでも、その背中には確かな意志があった。


『王に……指一本……触れさせぬ……』


 漆黒の剣を構える。


 ボロボロの鎧。


 侵食され、壊れかけているのに。


 それでも戦おうとしていた。


 レインは息を呑む。


 知らない。


 この騎士のことなんて。


 なのに。


 胸が痛かった。


 その時。


 赤い瞳が黒騎士を見た。


『まだ動けるんだ』


 楽しそうな声。


『本当にしつこいね、“骸の騎士”』


 黒騎士が震える。


 怒りか、恐怖か。


『……黙れ』


『君はもう壊れてるのに』


 巨大な瞳の周囲に、黒い光が集まり始める。


 セリアの顔色が変わった。


「全員伏せて!!」


 次の瞬間。


 黒い光線が放たれた。


 世界が消し飛ぶ。


「ッ!!」


 レインは反射的に《アークヘリオン》を掲げる。


 蒼黒の光が剣から溢れた。


 だが。


 止まらない。


 圧倒的すぎる。


「ぐぁぁぁぁぁッ!!」


 腕が砕けそうになる。


 地面が削れ、後ろへ押される。


 防ぎきれない。


 その時。


『王』


 黒騎士がレインの前へ立った。


「なっ……!」


 漆黒の大剣が振り上がる。


『我が身をもって』


 黒騎士は、光線へ突っ込んだ。


『お守りする』


 ドォォォォォォン!!


 凄まじい爆発。


 視界が白に染まる。


「……ッ!」


 熱風。


 衝撃。


 耳鳴り。


 やがて光が消えた時。


 そこには。


 片膝をついた黒騎士の姿があった。


 鎧が砕けている。


 右腕も消えていた。


 それでも。


 まだ立っていた。


「なんで……」


 レインは呆然と呟く。


 なぜそこまでして守るのか。


 黒騎士はゆっくり振り返る。


 兜の奥の赤い光が、少しだけ優しく揺れた。


『……ようやく、見つけた』


「……え?」


『ずっと』


 声がノイズ混じりになる。


『探していた』


 その瞬間。


 レインの脳裏へ、強烈な記憶が流れ込んだ。


 燃える王城。


 崩壊する世界。


 血に染まった玉座。


 そして。


 一人の青年が立っていた。


 黒い外套。


 蒼黒の剣。


 金色の瞳。


 今のレインより少し年上。


 だが。


 その顔は。


「……俺」


 間違いなく、自分だった。


 青年の前には、膝をつく騎士がいる。


 黒騎士だ。


 今よりずっと綺麗な鎧を纏っている。


『陛下』


 騎士が言う。


『どうか、お逃げください』


 だが青年は静かに首を振った。


『もう遅い』


 空には黒い月。


 世界は崩壊している。


 青年――“過去のレイン”は、小さく笑った。


『すまない、エルド』


 黒騎士の名前。


 エルド。


『全部、終わらせられなかった』


『違います!!』


 エルドが叫ぶ。


『あなたは戦った! 誰よりも!』


 だが青年は悲しそうに目を閉じる。


『……でも、世界は滅んだ』


 その瞬間。


 赤い光が空を覆う。


 巨大な“何か”が降りてくる。


 絶望。


 終焉。


 そして。


 青年は最後に、エルドへ命令した。


『次の俺を、守れ』


 世界が砕けた。


「――ッ!!」


 レインは現実へ戻る。


 呼吸が荒い。


 目の前では、黒騎士――エルドが崩れ落ちていた。


「エルド……」


 思わず名前を呼ぶ。


 黒騎士が微かに顔を上げる。


『……思い出し、ましたか』


 レインの胸が締め付けられる。


 知らない記憶。


 知らない世界。


 なのに。


 涙が出そうだった。


 その時。


 空の巨大な赤い瞳が、楽しそうに笑った。


『やっと再会できたね』


 黒い亀裂がさらに広がる。


 そして。


 巨大な“腕”が、こちら側へ伸びてきた。

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