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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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王と呼ばれた少年

静寂だった。


 侵食体たちも動かない。


 風すら止まったように感じる。


 黒騎士は、レインの前に膝をついていた。


 巨大な漆黒の剣を地面へ突き立て、頭を垂れている。


『我が、王』


 壊れた声が、もう一度響く。


 レインの思考が止まった。


「……は?」


 王?


 自分が?


 意味が分からない。


 だが。


 胸の奥が、妙にざわつく。


 まるでその言葉を“知っている”ような感覚。


「レイン……?」


 ミナが不安そうにこちらを見る。


 セリアの表情は完全に凍りついていた。


「そんな……ありえない……」


「何がだ」


 ガルドが問う。


 セリアは黒騎士を見つめたまま答えた。


「黒騎士は、“終焉戦争”で滅んだ王直属の親衛騎士」


「終焉戦争……?」


「二百年前、世界の半分が消えた戦争」


 村人たちが息を呑む。


 そんな歴史、辺境では昔話程度にしか伝わっていない。


 だがセリアの声は震えていた。


「その親衛騎士が、“王”へ跪くなんて……」


 ありえない。


 つまり。


 黒騎士はレインを、“その王”だと認識している。


 レインは黒騎士を見る。


 兜の奥の赤い光。


 壊れているのに、どこか悲しそうだった。


「……お前、誰なんだ」


 黒騎士はゆっくり顔を上げる。


 だが。


『……守る』


 それしか言わなかった。


 次の瞬間。


 空の黒い月が脈打つ。


 ドクン。


 黒騎士の体が震えた。


「ッ……!」


 まるで苦しんでいるようだった。


 黒い霧が全身から噴き出す。


『命令……』


 壊れた声。


『王……排除……』


「なに……?」


 レインの背筋が凍る。


 黒騎士が頭を抱え始めた。


 空から黒い光が降り注いでいる。


 黒月だ。


 あれが、黒騎士を操っている。


『違う……守る……』


『排除……』


『王……』


 苦しそうな声。


 次の瞬間。


 黒騎士が咆哮した。


 ドォォォォォッ!!


 衝撃波が周囲を吹き飛ばす。


「きゃぁっ!」


 ミナが転がる。


 セリアも氷壁で防御した。


 黒騎士が立ち上がる。


 赤い目が、揺れていた。


『……逃げろ』


 その言葉に、レインは目を見開く。


『制御……できない……』


 漆黒の魔力が暴走する。


 地面が崩れ始める。


【高位侵食暴走を確認】


【危険度急上昇】


 黒騎士が大剣を握り締める。


 その刃に、黒い雷が走った。


『王を……殺したく、ない……!』


「ッ!」


 レインは直感する。


 次の一撃は、今までと次元が違う。


 セリアも理解したらしい。


「全員離れて!!」


 だが。


 村人たちは逃げきれない。


 黒騎士の周囲だけで空間が歪んでいる。


 レインは拳を握った。


 逃げれば、自分は助かるかもしれない。


 でも。


 また誰かが死ぬ。


 その時。


 頭の中でゼノスが呟いた。


『選べ』


「……何を」


『王になるか、ただの人間で終わるか』


 意味が分からない。


 だが。


 胸の奥が熱い。


 恐怖より先に、体が動こうとしている。


 黒騎士が剣を振り上げた。


 空間が裂ける。


 レインは前へ出た。


「レイン!?」


 ミナの叫び。


 だが止まらない。


 白銀の剣を構える。


 その瞬間。


【条件達成】


【王権因子を検知】


【記憶武装 第三段階 解放開始】


「……え?」


 剣が、変化する。


 白銀だった刀身が、蒼と黒の混じった光へ変わっていく。


 紋様が浮かぶ。


 圧倒的な魔力。


 セリアが目を見開いた。


「そんな……!」


 黒騎士が止まる。


 赤い目が揺れた。


『その剣……』


 レインの脳裏に、知らない景色が流れ込む。


 巨大な玉座。


 無数の騎士。


 そして。


 自分が、その剣を掲げている姿。


【名称解放】


終律剣アークヘリオン


 世界が震えた。

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