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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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黒騎士

黒騎士が、一歩踏み出す。


 ズシン。


 それだけで地面が沈んだ。


 周囲の侵食体たちがざわめくように揺れる。


 まるで王の前に跪く兵士のようだった。


「……なんだ、あれ」


 ガルドの声が震える。


 レインも息を呑んだ。


 異常だ。


 今までの魔物とは、存在感そのものが違う。


 空気が重い。


 近くにいるだけで、本能が警告を鳴らしていた。


【高位侵食体:《黒騎士》】


【危険度:測定不能】


【現在生存率:12%】


「測定不能……?」


 レインの背筋に冷たい汗が流れる。


 その時。


『逃げろ』


 ゼノスの声。


「え?」


『今のお前では勝てん』


 初めてだった。


 ゼノスが、ここまで断言したのは。


 だが。


 黒騎士はゆっくり大剣を持ち上げる。


 その瞬間。


 周囲の空気が裂けた。


「ッ!」


 レインは咄嗟に剣を構える。


 だが。


 黒騎士は動いていなかった。


「……なに?」


 セリアが眉をひそめる。


 次の瞬間。


 レインの背後で爆発音が響いた。


 ドゴォォォォン!!


「なっ!?」


 振り返る。


 そこには、村の外壁が吹き飛ばされた光景があった。


 誰も見えなかった。


 攻撃した瞬間が。


「空間斬撃……!?」


 セリアの顔色が変わる。


 黒騎士は無言。


 ただ、ゆっくりこちらへ歩いてくる。


 その姿に、底知れない恐怖があった。


「全員下がれぇぇ!!」


 ガルドが叫ぶ。


 村人たちが慌てて逃げ始める。


 だが侵食体たちが道を塞ぐ。


「くそっ……!」


 レインは剣を握る。


 逃がさない気だ。


 黒騎士の目的は、自分。


 なら。


「レイン、待って」


 セリアが低く言う。


「真正面から戦ったら死ぬ」


「でも!」


「聞いて」


 セリアは真剣な目でレインを見る。


「あれは普通の侵食体じゃない。“黒月戦争”の残骸」


「黒月戦争……?」


 だが説明を聞く余裕はなかった。


 黒騎士が剣を振り下ろす。


 何も見えない。


 なのに。


【危険予測】


 レインの本能が叫ぶ。


「右だッ!!」


 反射的にミナを突き飛ばす。


 次の瞬間。


 ズガァァァァン!!


 地面が一直線に裂けた。


 まるで見えない刃が通過したように。


「……ッ!」


 ミナの顔が青ざめる。


 あと少し遅れていたら、真っ二つだった。


 黒騎士はなおも無言。


 感情がない。


 ただ機械のように、レインだけを見ている。


『来るぞ』


 ゼノスの声。


 瞬間。


 黒騎士の姿が消えた。


「ッ!?」


 速い。


 いや。


 速すぎる。


 次の瞬間には、レインの目の前にいた。


 漆黒の大剣が振り下ろされる。


 キィィィン!!


 レインは白銀の剣で受け止めた。


「がっ……!」


 重い。


 骨が軋む。


 押し潰される。


 だが。


 黒騎士の兜の奥。


 その暗闇の中に、一瞬だけ赤い光が見えた。


 その瞬間。


 レインの頭に記憶が流れ込む。


 戦場。


 黒い雨。


 大量の死体。


 そして。


 一人の騎士が、世界の終わりで剣を振るっていた。


「……まさか」


 レインは目を見開く。


【記憶共鳴を確認】


『気づくな』


 ゼノスの声が鋭くなる。


『あれを見るな!!』


 だが遅かった。


 黒騎士の記憶が、一気に流れ込んでくる。


 絶望。


 怒り。


 忠誠。


 そして。


 “王”への執着。


『王を守れ』


『王を救え』


『王を――』


「ぐぁぁぁッ!!」


 レインは頭を押さえる。


 黒騎士が止まる。


 そして。


 初めて、口を開いた。


『……王』


 低く、壊れた声。


 その瞬間。


 周囲の空気が凍りついた。


 セリアの瞳が揺れる。


「……嘘」


 黒騎士は、大剣を下ろした。


 そして。


 レインへ向かって、ゆっくり膝をつく。


『見つけた』


 兜の奥の赤い光が揺れる。


『我が、王』

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