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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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薄くなる方法

部屋の外で、無数の気配が蠢いている。


 音は小さい。


 なのに数だけが異常だった。


 まるで壁の向こうに“群れそのもの”が張り付いているみたいだった。


 ミナが顔を青くする。


「これ……どうすんの」


 男は即答した。


「隠す」


 レインが眉をひそめる。


「俺をか」


 男は頷く。


「存在を薄くするしかない」


 セリアが静かに言う。


「でも普通の方法じゃ無理ね」


「レインは“強すぎる”」


 男は苦い顔をした。


「分かってる」


「だから使いたくなかった」


 そう言って、机の下から古びたケースを引きずり出す。


 金属製。


 表面に無数の傷。


 そして中央に、黒い円形の装置が埋め込まれている。


 ネアが小さく反応する。


「……旧式」


 男は驚いたように彼女を見る。


「知ってるのか?」


 ネアは静かに答える。


「少しだけ」


 男はケースを開く。


 中には、首輪みたいな黒いリングが入っていた。


 ただし普通じゃない。


 表面が微かに“ノイズみたいに揺れている”。


 ミナが後退る。


「絶対ヤバいやつじゃん」


 男は低く言う。


「存在抑制リング」


「これで“世界から見えにくくする”」


 リシアが不安そうに聞く。


「安全……なの?」


 男は黙る。


 その沈黙だけで答えになっていた。


 ミナが即座に言う。


「ダメじゃん!!」


 外から衝撃。


 ドン!!


 今度は扉がわずかに歪む。


 壁のランプが点滅した。


『処理対象確認』


『侵入を開始します』


 男が舌打ちする。


「時間がない」


「選べ」


 レインはリングを見る。


「付ければどうなる」


 男は静かに答えた。


「弱くなる」


 ミナが即座に言う。


「いや、でも今のレインなら別に……」


 男は首を振る。


「違う」


「“力が落ちる”んじゃない」


「“存在が削れる”」


 静寂。


 リシアが震える。


「存在……削る?」


 セリアが低く言う。


「つまり、“レインとして認識される部分”を減らすのね」


 男は頷く。


「そうしないと外側じゃ生きられない」


 レインは少し黙る。


 その間にも、外では無数の何かが扉を擦っている。


 ギギギギ……。


 ミナが小さく呟く。


「なんかさ」


「今までと全然違うね」


 誰も否定しなかった。


 世界を斬るとか。


 概念を壊すとか。


 そんなものじゃない。


 今必要なのは、“目立たず生き残ること”。


 それだけだった。


 レインはリングを手に取る。


 触れた瞬間。


 リングが“脈打った”。


 ゼノスが激しくノイズを出す。


『警告!!』


『それは――』


 ブツン。


 完全に切れる。


 ミナが青ざめる。


「ゼノス!?」


 男が焦ったように言う。


「早くしろ!!」


 扉が内側へ少し曲がる。


 黒い指が隙間から入り込む。


 リシアが息を呑む。


「入ってくる……!」


 レインは無言でリングを首に付けた。


 瞬間。


 世界が、“レインを忘れかける”。


 ミナの目が揺れる。


「……え?」


 そこにいる。


 見えている。


 なのに、“認識が滑る”。


 さっきまで圧倒的だった存在感が、一気に薄くなる。


 セリアが目を細める。


「これは……」


 リシアが混乱する。


「レイン、だよね……?」


 レインは黙っている。


 だがその声まで少し遠い。


 男が小さく息を吐いた。


「成功した……」


 その瞬間。


 外側の無数の声が止まる。


『……』


『処理対象再検索』


『反応低下』


『優先順位変更』


 黒い指が、扉の隙間からゆっくり消えていく。


 足音も遠ざかる。


 静寂。


 ミナがその場に座り込む。


「……助かった?」


 男は頷く。


「一応な」


 だがその顔は暗いままだった。


 リシアが不安そうに聞く。


「……どうしたの?」


 男はレインを見る。


 そして静かに言った。


「そのリング」


「長く付けてると、“元に戻れなくなる”」




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