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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第3章

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揺り戻し

観測ログが“返事のように揺れた”直後。


世界は一度だけ、深く沈黙した。


そして――


何も起きなくなった。


ミナは周囲を見回す。


「……え、終わり?」


セリアも少し目を細める。


「違うわね」


「“あえて何も起きない状態に戻されてる”」


リシアが不安そうに言う。


「戻るって……どこに?」


ネアは静かに答える。


「“基準点”」


 その言葉の直後。


 景色が変わった。


 観測塔も、境界も、ログも消えていく。


 代わりに現れたのは――


 森だった。


 湿った空気。


 低い木々。


 どこか懐かしい、普通の森。


 ミナが固まる。


「え……なにこれ……」


セリアは周囲をゆっくり見てから言う。


「“初期化領域”ね」


 リシアが息を呑む。


「初期化って……全部戻ったの?」


ネアは首を振る。


「違う」


「“観測の影響を受けていない層の再現”」


 レインは森の中に立っている。


 剣はある。


 でも空気は軽い。


 敵意も、ログも、境界もない。


 ただの森。


「……めんどくせぇな」


ミナが即座に振り返る。


「今のすごい安心した!」


セリアは小さく笑う。


「皮肉ね」


「一番危険な時より、こういう時の方が怖いのに」


 森の奥で、小さな音がする。


 ガサッ――


 何かが枝を踏む音。


 ミナがビクッとする。


「今の……なに?」


リシアが小声で言う。


「動物……?」


ネアは静かに言う。


「うん」


「“普通の可能性”」


 草むらから出てきたのは、小さな獣だった。


 角もない。


 光もない。


 ただの動物。


 ミナは思わず息を吐く。


「よかった……普通だ……」


セリアも少しだけ肩の力を抜く。


「こういうの、久しぶりね」


 だがその瞬間。


 獣がこちらを見た。


 一瞬だけ。


 そして――


 視線を逸らした。


 ミナが固まる。


「今の……」


リシアが小さく言う。


「見たよね……?」


ネアは静かに答える。


「うん」


「“観測の癖だけ残ってる”」


 レインはその獣を見ている。


「ただの獣だろ」


セリアは首を振る。


「いいえ」


「“世界が一度見られたあと”ってこと」


 森は静かだ。


 何も起きない。


 敵もいない。


 ログもない。


 ただの世界。


 なのに――


 どこか“作られた静けさ”がある。


 ミナが小さく言う。


「なんかさ……安心するのに、落ち着かない」


ネアは静かに言う。


「それが正しい」


 森の空を見上げると、そこには“穴”がない。


 塔も、境界もない。


 ただの空。


 だがセリアは気づく。


「これ……観測されてないんじゃなくて」


「“観測を外された状態”ね」


 リシアが不安そうに言う。


「外されるって……誰が?」


誰も答えない。


森は静かに続いている。


だがその静けさの奥に――


“最初に戻した何か”の気配だけが残っていた。

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