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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第3章

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観測ログの影

 観測塔の“目”が開いたあと、世界は少しだけ変わっていた。


 変わったというより――


 「変わったことに気づけるようになった」。


 ミナは自分の手を見つめる。


「なんかさ……自分の動き、ちょっと遅く感じない?」


 セリアは周囲を見回す。


「違うわね」


「“世界の更新周期が変わってる”」


 リシアが不安そうに言う。


「更新って……ゲームみたいな?」


 ネアは静かに頷く。


「近い」


「ただし“誰も操作していない”」


 レインは観測塔を見上げたまま歩く。


 塔の“目”は、もう動いていない。


 しかし――


 見られている感覚だけが残っている。


 ゼノスが静かに言う。


『観測ログの断片を検出』


『通常層に残留している』


 その瞬間。


 空間に“薄い文字”が浮かぶ。


 誰も触れていないのに、誰も見ていないのに、そこにだけある。


 《観測対象:継続中》


 ミナが青ざめる。


「これ……まだ見られてるってこと?」


 セリアは低く言う。


「見られてる、じゃないわね」


「“見られていた状態が残ってる”」


 リシアが小さく息を呑む。


「それって……過去の視線?」


 ネアは静かに答える。


「うん」


「“観測の残響”」


 レインはその文字に触れようとする。


 その瞬間――


 文字が一瞬だけ“反応する”。


 消えない。


 変わらない。


 ただ、“レインに合わせて揺れる”。


 ミナが叫ぶ。


「今のやばいって!反応したよね!?」


 セリアは目を細める。


「ええ……“ログが生きてる”」


 ゼノスが続ける。


『観測ログ:自己参照化』


『対象との同期開始』


 ミナが頭を抱える。


「もうログって何なの!?日記!?呪い!?」


 観測塔の方向で、わずかに空が歪む。


 塔はもう見えない。


 だが“見られている構造”だけが残っている。


 ネアは静かに言う。


「ここから先は変わる」


 セリアが問い返す。


「何が?」


 ネアは短く答える。


「“現実の固定方法”」


 その瞬間だった。


 世界の地面に、細い線が走る。


 まるで“編集マーク”。


 ミナが固まる。


「今の……なに?」


 リシアが震える。


「世界に線が入った……?」


 セリアは目を細める。


「違うわね」


「“書き換え可能領域の表示”よ」


 レインはその線を見下ろす。


「めんどくせぇな」


 ゼノスが静かに言う。


『観測干渉許可範囲:限定開示』


『対象:例外存在』


 ミナが即座に叫ぶ。


「またレインだけ特別扱い!?なんで!?」


 レインは剣を軽く回す。


「じゃあやることは同じだろ」


 一歩踏み出す。


 その瞬間――


 線が“少しだけずれる”。


 ミナが息を呑む。


「今の……動いた?」


 セリアは低く言う。


「ええ」


「“観測がズレた”」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“見られ方を変えると世界が変わる”」


 ミナがぼそっと言う。


「それもう現実じゃないじゃん……」


 そのとき。


 観測ログの残響が、もう一度だけ浮かぶ。


《観測者未確定》


 セリアが静かに呟く。


「やっぱりね」


「まだ“誰が見てるか”は出てこない」


 リシアが不安そうに言う。


「じゃあこれって……ずっと誰かに見られてるの?」


 ネアは少しだけ間を置いて言う。


「見られているというより」


「“見られていることになっている状態”」


 レインは空を見上げる。


「ならその“誰か”を殴ればいいだけだろ」


 ミナが叫ぶ。


「どこにいるのそれ!!!」


 観測ログは静かに揺れる。


 そして、ほんの一瞬だけ――


 “返事のような揺れ”を見せた。

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