表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Only< >  作者:
Surface-目視-
7/25

Dogging;4

みとはながどうじにできて

在りと荒ゆる青の殻、薄れて(くら)へと続いても、境は賢しく(さか)にあり、越えては(さい)ぞ投げられた。()も無き空にあるものは、誰そ(がれ)時の影霞。


---------



レーダーから数多あった光点が追跡を止めた。常に鳴っていたアラートも急にその音を止ませ、彼は逆に戸惑った程だった。何も無い。何もいない。正にこれが(から)なのだとも言うように。そうして、それらの赤文字の列が止む頃に彼は気付く。彼の乗る機体の速度がゼロを示していることに。なんだこれは。ここまで張っていた気が少し弛んだ直後にそれに気付いた彼は焦りを覚え、エンジンを起動するように指示する。動かない。浮かぶのみだ。そうして、彼のバイザーに`言葉`が表示され始めた。

いいや、それは言語を示す文字列というよりも記号であり、絵であり、そうして何よりも意味そのものだった。だから、彼はそれの言わんとすることはくまなく理解出来た。

-こんにちわ-

視界に這える緑の文字列。

-初めまして。あなたのような`ヒト`が居てくれて、私たちはとても嬉しい-

それの違和感にすら気付かない程に。

-`ヒト`はどう在りたいのか、私たちは見たかった。

あなたのような`ヒト`がいてくれて、私たちはとても嬉しい-

その文字列は音を帯び耳に入り。

-どうあっても欲求を満たそうとする本能。必然を偶然と捉える理力。その最中にあり-

意味を伝え続ける。

-あなたのような`ヒト`がいるとは、面白い、`ヒト`には期待が持てる-

喜びと、或いは恐れを乗せながら。

-だから、これをあなたに差し上げよう。

どう使うかは`ヒト`に委ねよう。

けれど-

それは、警告以外のただ一つの意味も無かった。

-これはあなたのものだ。受け取ってくれ。ユウナギ=アシュレイ-

ただ、この柔らかい一つを除いて。

その言語が止むと、彼、ユウナギは自分が俯いていたこと、それから酷く疲れていることに気付いた。しかし疲れを払うように首を振ると、どうにか正面を見た。

そこには先ほどまでは見えなかった、白光を伴う何かが浮かんでいた。或いは多脚の、虫のように滑やかで、花のように命に溢れ、鳥のように全てを叩き、魚のように全てを掻く、何かだ。

-また会いましょう-

それは一言そう残すと、遥か頭上へとその光、身体のようにも見えるそれを一瞬で伸ばし。

そうして後に青い光の粒を残し、それは冗談のように消えた。

途端、機体に力が戻る。呆然となりながらもパイロットとしての冷静さでそれを隠し機体の状態をチェックする。

≪後部カーゴに10分前に比して約7キログラムの質量増加を確認≫

いつの間に。信じられなかったが、これが`贈り物`なのだろうか。

≪後部カーゴ内からシステム干渉。空域内の全無人機を掌握開始≫

バカな。そんなことが可能なはずが。

≪....comp.≫

無い。否定が脳で生まれるよりも早く、それは成された。

≪当機アルビノ2はこれより帰投する。全機エスコートせよ≫

バイザーの端にそれが示されると、レーダーにそれらが群れ始めるのが見え。

そうしてそれらの全てがユウナギの帰るべき方角へ、一斉に光を放った。或いは光が花の咲く様は、まるで夜明けのようだった。


それではじめがはじまった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ