folklore;2
はこのなかみがきになるの
藍の明るき暁よ、貴方の浅き夢は何?
揺籠ゆるり、回ります。貴方の足掻く夢は何?
堂々巡りの交わぬ問い、いかにも応えのあるはずも。
----------
30cm四方の、深い藍の混ざった黒いキューブ。表面には幾重に凹凸が刻まれ、いかなる手段を以てしても内部を知ることはできなかった。そうして`それ`は化学的にも物理的にも非常に強固で、いかなる破壊も受け付けなかった。
実験を繰り返す内に`それ`はある性質を持っていることが分かった。
デジタル、アナログを問わず`ヒト`の意志が介在する情報が与えられると、それに対する答えを導き出す性質だ。
驚くべき頑強性はその破壊に対する`それ`の解答であり、同時に内部を知ることが出来ないことも`それ`の解答である、とレポートには纏められている。余りにも突飛で、余りにも魅力的な`それ`。中には`それ`には意志が存在するのだから、人権を与えろと言い出す輩まで出る始末だった。
`彼ら`の最終通告が届いても-通告を信じるかは研究者たちによって異なったが-ともかく`それ`の研究は続いた。
そうして、遂に`ヒト`は`それ`を生み出した。
その実といえばデッドコピーを吐き出しただけなのだが、ともかくヒトは制御出来る`それ`を手に入れた。
文明は飛躍した。
耐時間性素子、自己複製集積演算機、抗重力子。`それ`を使い作られた様々な発明のうち、この三つのみでもヒトが戦争を辞めるに足るものだった。もちろん、`それ`のもたらしたものはそれだけではない。もはやヒトは、以前のような動物ではなく、ヒトとなることが出来た。それに足りるものを`それ`はヒトにもたらしていた。
そう、足るものだった。今思い返すならば。
だけどあけないたのしみだから




