↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きみの頬をなでる風になれたら  作者: 朝倉いろは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/53

第五話 帰郷

「ねぇお姉様、本当に騎馬で帰るの?」

 馬車の窓から顔を出したのは、アリシアの妹オリアナだ。アリシアは馬に鞍を乗せながら、

「ええ、もちろん。オリアナも騎馬で帰れば良いのに」

 と、笑う。

「やぁよ、お尻が痛くなっちゃうもの。それに馬車の周りに騎士がいっぱい居て、お姫様みたいでウキウキしちゃうわ」

 帰郷の旅はアリシアとオリアナ、それに迎えに来た従者達だけでなく、近隣領の子息連中も一緒に帰ろうぜと言い出し、大所帯になってしまった。それぞれの領境まで賑やかな道中になりそうだ。

「魔獣が出ようと盗賊が出ようと、我々がお守りしますよ、お姫様」

「ありがとうルーファス。頼りにしてるわ」

 ルーファスはフィデール領と隣接するハウゼン領を治める子爵令息だ。フィデール子爵と共にタナトス家の家臣でもある。そして、オリアナとは婚約関係にあった。

 うっとりと見つめ合う二人に多少の苛つきを感じながら、

「守るも何も、その辺の魔獣なんかオリアナなら一撃だろ」

 と、言えば、

「アッシュ兄様酷い!そんなに強くないもん!三撃くらいだもん!」

「オリアナは可憐な淑女ですから五撃くらいかかりますよ」

「淑女って何だよ」

「辺境に淑女なんかいねぇよ」

「すぐ死ぬからな」

「アリシアも盗賊くらいなら秒で埋めれるだろ」

「そうね、魔法なんか要らないわ」

 などと、あちこちから返される。この気安いやり取りが心地良い。辺境の連中は気の良い奴らばかりだ。厳しい環境だからこそ結束力もある。血の気の多さは愛嬌のようなものだ。

 

「リア、準備出来たか?」

「ええ」

「ヴィンセントには会ったのか?」

「昨日会ったわ。騎馬で帰るって言ったらびっくりしてたけど」

「まぁ、そうだろうなぁ」

「この子と一緒に遠乗りするのも最後かも知れないわ。よろしくね、ロイ」

 と、愛馬を撫でる。小柄なアリシアには少し大きいが、脚が強く逞しい馬だ。魔獣が出ても怯えずに走る。馬も俺達の強さを知っている。だから恐れないのだ。

 

 辺境まで馬の脚で五日。荷物を引く馬車やオリアナ達淑女を乗せた馬車もあるため、六、七日掛かる行程だ。アリシアとの遠乗りも最後だろう。終わらない旅になれば良いのに、などと叶わない望みを抱きながら、一行は出立した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。