08 アルベルトには本当のことを話しておくことにします
「なるほど…つまりその、円満婚約解消?のために恋人を探してるわけだ」
私のせいで殴られることになったアルベルトには、円満婚約解消のことを話しておいたほうがいいかとおもって打ち明けた。
「で、ギルツハークの想い人ってのは、どんな人なの?」
アルベルトにそう言われて困ってしまった。
私はどんな恋愛もアリだと思っているけれど、そういう人ばかりじゃないこともわかってる。
アルベルトは、どっちだろう。
「そ…それは。私の口からは…」
「言えないけど知ってるってこと?」
アルベルトにそう言われて、おずおずと頷いた。
「そっか、わかった。じゃあさ、こういうのはどう?」
アルベルトはそう言って、私に恋人契約を提案してくれた。
「ディアはギルツハークと円満に婚約を解消したいんだろ?しかも、ギルツハークのために、できるだけ早く…」
そう言われて「はい」と答える。
「でも、今のところ、ディアが好きになれる人が見つからない、と」
そこまで言って、アルベルトは複雑そうな顔をした。
「…そうなんです」
「だったら、俺が恋人のフリをしてあげるよ。もちろん、本当に好きになってもらってもいいけど」
アルベルトがそう言っておどける。
ギルツハークとアルベルトでは、色々と正反対だ。
ギルツハークは無口、無表情、一生懸命。
アルベルトはおしゃべり、表情豊か、そして…いいかげん。
女性に対しても、チャライ。
「…嬉しいのですが。その…ギル様、じゃなかった、ギルツハーク様とあまりにも違いすぎて…疑われないでしょうか」
うっかりギルツハークを愛称で呼びそうになってしまった。
「むしろ、全然違うタイプのほうが婚約解消に現実味が出るんじゃない?あ、俺のことも、アルって呼んでよ」
アルベルトにそう言われて、試しに「アル」と呼んでみた。
「恋人っぽくていいじゃん。ディアにアル。ね?」
アルベルトにそう言われて、とりあえずお言葉に甘えてみることにした。
「で、どうやって婚約解消にもっていくの?」
アルベルトがそう言って、私の顔をのぞきこんだ。
「まずは、私の両親を説得してみます」
そもそも、この婚約は私とギルツハークの両親が勝手に決めた話だ。
お互いの両親さえ納得すれば…って、それが1番難しいんだけど。




