07 アルベルトに愛称で呼ばれて驚きました
「いいから。今日はこれを飲んで早く帰りなさい。風邪をひくよ」
ギルツハークがそう言って、私にひざ掛けをかけてくれた。
寒かったから、少し嬉しい。
と、アルベルトがアイスのキャラメルマキアートというのを持ってきてくれた。
生クリームがもりもりの、ドリンクというよりスイーツ。
「こ、これが、アイスのキャラメルマキアートなんですね」
初めて飲む…食べる?
ストローで飲むらしく、一生懸命吸ったけど、生クリームしか出てこない。
「…甘いです」
ギルツハークに嫌われないようにと、食事にも気をつかっていたから、こんな甘いものを食べたのも初めてかもしれない。
ぱあっと顔が明るくなったのが自分でもわかる。
「甘いもの、好きなんだ。可愛い」
アルベルトがそう言ってくれて、驚いた。
「…え?私、可愛い?」
男性から言われたことない、そんなこと。
「か、可愛いわけがないだろう。君は、そんな男の言うことを信じているのか?」
そう言って、ギルツハークが怒りだした。
「だいたい、こんな糖分しかとれない飲み物を飲んで、何がいいんだ。喉を潤すことも、体を温めることもできないじゃないか」
ギルツハークがそう言って私の手を取り「帰ろう」と言った。
いつもそうだ。
ギルツハークは私が楽しむことを嫌がる。
早く帰ろう、早く帰ろうって、それしか言わない…
「い、嫌です。私は、帰りません。ギルツハーク様だけ帰ればいいじゃありませんか」
ギルツハークが私を嫌いなのはわかった。
それはきっと、私が楽しむことも許せないくらいの嫌悪なんだろう。
でも、だからって、頼んでもいないのにわざわざ来てまで妨害しなくてはいけないくらいなのだろうか。
「そうだよ。ディアがせっかく楽しんでるのに、ひどいことを言うんだね」
アルベルトがそう言ってくれた。
…ん?ディア?
「ディア…ディアって…もう愛称で呼んでるのか?!」
ギルツハークがアルベルトの胸倉を掴む。
「ちょ…ギルツハーク様、やめてくださいっ!」
そう言ってとめたけど、少し遅かった。
殴られたアルベルトが椅子から落ちている。
いったい、どうしてこうなったんだろう。
「大丈夫ですか、アルベルト様」
頬が赤くなっている。
ハンカチを水で濡らして、アルベルトの頬に当てた。
「ギルツハーク様、暴力を振るうなんて、サイテーです!」
私がそう言うと、ギルツハークはシュンとしてしまった。
悪いことをした、とは思っているのかな。




