06 キャラメルマキアートを初体験しました
アルベルトとの待ち合わせのカフェ。
ひとりで…ひとりで来れた。
すごく嬉しい。
学園以外で、ひとりで来ることができたのは、初めてかもしれない。
と、言っても。
学園の隣のカフェだけど。
それでも、私にとっては大冒険だった。
楽しい…
カフェに入ると「いらっしゃいませ」と言ってもらえた。
「へへ…いらっしゃいました」
つい、ひとりごとを言ってしまう。
どこに座ったらいいのか悩んでいると「こちらへどうぞ」と言われた。
どうぞと言われたら、行くしかない。
窓際の席に案内されて、言われるがままに座る。
窓が開いていて、ちょっとだけ寒い。
…けど、こういう時、どうすればいいのか私は知らない。
しばらくすると、アルベルトが来た。
「ごめん、ごめん。先にくるつもりだったのに。これ、買っていて」
そう言って、アルベルトが花束を出した。
「まあ、素敵な花束ですね。どなたかのお誕生日ですか?」
「いや…今日のデートの記念に。君への花束なんだけど」
そう言って、花束をもらってしまった。
誕生日でもないのに、花束。
きょとんとする。
「ん?花束を渡して、初めての反応なんだけど。嫌いだった?」
アルベルトが心配そうに私を見る。
「いえ…実は、婚約者からの誕生日プレゼントが毎年、花束で。花束は誕生日に贈るものだとばかり思っていたものですから」
ギルツハークからの誕生日プレゼントは、いつも花束だった。
最初は嬉しかったけど、毎年毎年毎年、白い薔薇の花束で。
プレゼントを考えるのが、面倒なんだろうなと思う。
「婚約者がいるの?」
アルベルトが驚いている。
「あ、正確には…もうすぐ婚約を解消する予定なんですけど。あ、これは内緒…秘密で」
そう言うと、アルベルトは「秘密、大好き」と言った。
「婚約は解消しないし、内緒でも、秘密でもないよ」
そう声が聞こえて振り向くと、ギルツハークがいた。
「え??…ど、どうして?ギルツハーク様っ?!…あ、学園に何か御用でしたか?」
このカフェ、学園の隣だったっけ。
「はい、キャラメルマキアート。アルベルトさん、ディアにキャラメルマキアートを飲ませるから、これで君の目的は達成されたわけだし帰っていいよ」
ギルツハークがまた、わけがわからないことを言う。
「うん、これもキャラメルマキアートだね。でも、俺のおすすめはアイスのキャラメルマキアート。待ってて」
アルベルトがそう言って、カウンターに向かった。
「あ、あの…ギルツハーク様。今日は、アルベルト様にご招待をいただいているので。そろそろ…」
私も相手を探さないと円満婚約解消できないのに…邪魔だなぁ。




