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婚約者に嫌われているようなので私も別の恋を探してみようと思います  作者: 西園寺百合子


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45/50

45 崖から落ちそうになって助けを呼んでみました

指に力がはいる。

これ、落ちたらまずいよね。

下を見たけど、木が生い茂っていてどれくらい高いところにいるのかわからない。


一度、落ちてみる?

もしかしたら、それほど高くないかもしれないし、木が生い茂ってるから大した怪我はしなくてすむかもしれない。

こんな状況だけど冷静でいられているのが不思議だ。

でも、手をはなす勇気はない。


困った…

「だ、誰か、いませんか~」

一応、助けを呼んでみる。

ただ、ここに来るまで人に会わなかったから、人が来てくれるとは思えない。

自分ではどうにもできないから、助けを呼ぶしかないんだけど。


やっぱり、落ちてみようかな。

手をはなそうとして、誰かが私の手を掴んだ。

ギルツハーク?

とっさにそう思ったけど、手を掴んでくれたのは、アルベルトだった。


「あら?アルベルト様。どうしてこんなところへ?」

「クラウディアっ、いま、それ、どうでもいいからっ」

アルベルトがぐっと私の手を引っ張ってくれる。


「ああっ!それ、俺の役なのに~」

そう言って、後ろからギルツハークが手を伸ばしてくれた。

「あら、ギル様も。おふたりでいらっしゃったんですね」

2人に引き上げてもらって、なんとか怪我をしないですんだ。


ホッとする。

安心したら、ポロっと涙がこぼれた。

「…あとは、王子様に譲るよ」

アルベルトがそう言って立ち去っていく。


今まで、あんなに冷静だったのに、ポロポロと涙が溢れて止まらない。

「ディア…どこか痛いの?怪我した?」

ギルツハークが私の体を擦ってくれる。

「いえ…いえ、だい、じょうぶ…です…なぜだか涙が止まらなくて…」

そう言うと、ギルツハークが私を抱きしめてくれた。


ギルツハークに抱きしめてもらうと、ふわふわしてしまって、安心して、エンエンと泣いてしまった。

ギルツハークは私が落ち着くまで抱きしめていてくれた。

たくさん泣いたらまた冷静になる。


「…すみません。あっ!ギル様っ、服が汚れてしまいますね」

ギルツハークが膝をついて私を抱きしめてくれていたから、膝が汚れてしまっていた。

「大丈夫だよ。ディアも服が汚れちゃったね。家まで送っていくね」

そう言ってもらえた。

木に引っ掛けられていたレポートをなんとか提出して、帰宅する。


両親に服が汚れていた理由を聞かれて、仕方なく、これまでのことを話した。

「まあ。ギルツハークは、女性にモテるのね」

母がそう言ってコロコロと笑う。

「女性の嫉妬は怖いものだな」

父も、うんうんと頷いていた。


うちの両親は、ちょっと…アレなのだ。

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