44 小さい意地悪が続いて困っています
教科書がない、ノートがないと、物が無くなるのは日常茶飯事。
今日は、提出するレポートが無くなっていた。
もっと早くに提出するか、提出するまで持っておくべきだった。
レポートをこれから書き直すのは難しい。
もう燃やされている可能性はあるけど、探してみることにした。
「あれ?クラウディア。何か探しているの?」
アルベルトが教室をのぞいてくれた。
簡単に事情を説明すると「それ、ギルツハークに言ったの?」と言われた。
「物を隠されていることは伝えてますけど。今日のレポートのことは、まだ伝えていません」
帰ったら伝えますねと言う。
「一緒に探すよ」
アルベルトがそう言って探そうとしてくれた。
「大丈夫ですよ、アルベルト様」
そう言って、断った。
アルベルトを愛称で呼ぶのはやめた。
アルベルトも、私を愛称では呼ばない。
アルベルトはギルツハークの隣の席のフレイアとお付き合いをすることになったのだ。
それも、ギルツハークの紹介で付き合うことになったと聞いた。
その話を聞いて本当に驚いた。
まさか、ギルツハークが恋のキューピッド役をかって出るなんて思わなかった。
それに、アルベルトと女性を紹介するくらい仲がよかったなんて知らなかった。
色々と驚いたけど、アルベルトには好きな人がいるんだもの。
だから、たとえ友達といえども、2人きりになるのは避けたい。
「…まあ、そういう真面目なところも、クラウディアのいいところだよね。ギルツハークに会ったら、伝えておくね」
アルベルトはそう言って教室からはなれていく。
自分の机とその周辺は探してみたけど、どうやらない。
捜索範囲を広げてみたけど、やっぱりない。
無駄だろうなと思ったけど、焼却炉に行ってみた。
ここにあったとしたら、もう燃えているだろう。
そう思いながら、少し焼却炉の中もあさってみたけど、やっぱりみつからなかった。
先生にどう言ったらいいかしらと思って悩んでいたら、知らない女性が私に話しかけてきた。
「あ、あの…クラウディアさんのレポート、あ、あっちの木に、ひっかけられていましたよ」
おどおどとそう言った。
誰かに言わされてるんだろうと思った。
そうであるなら、私がそこに行かないと、この女性が何か言われるかもしれない。
「…わかりました。わざわざ、ありがとうございます」
女性にそう伝えて、どうせないだろうと思ったけど、言われた木のところに行ってみた。
無いだろうと思っていたレポートが、木に引っかかっている。
しかも崖のところに生えている木に。
わざわざ、こんなところに引っ掛けなくてもいいのに。
そう思いながら、手を伸ばしてみた。
掴めそうで、掴めない。
微妙な距離感。
敵もなかなか、やるものだ。
「ん~…」
声を出して腕を伸ばしてみたけど、どうしても届かない。
レポートが指に触れた気がして、体を乗り出してみた。
そのまま、落ちてしまったのだ。




