04 見せつけられてイラっとします
『本を読んで会話を楽しむ会』。
男女が20人ほど、それぞれ本を読みつつ会話を楽しむ。
「あの本、面白いですよ」とか「あの本、読みましたか?」という会話が聞こえてくる。
で、そんな会にどうして…
ギルツハーク と御友人も参加しているんだろう。
「漫画ないんだしさ。そろそろ帰ろうぜ」
御友人がつまらなそうに言った。
「うるさいな。帰りたければ帰ればいいだろ」
ギルツハーク がそういうと、御友人がギルツハーク を抱きしめた。
驚いて目線をそらす。
わかっている…私はわかっていますわ。
ギルツハーク が好きな人、それは御友人のエリックですよね。
仲がいいとは思っていたけれど、まさか想い人だったとは。
それにしたって、イチャイチャするなら、よそでやってくれればいいのに。
もちろん、私は応援するけど。
一応、元婚約者…あ、まだ婚約者のままだ。
そう、まだ婚約者がいる前で、見せつけることもないんじゃないかしら。
「はっ…もしかして…」
思い至って、2人を見る。
早く、婚約を解消しろっていう嫌がらせなのかしら。
ごめんなさい、ギルツハーク 。
できるだけ早く、好きな人を見つけて、できるだけ早く円満婚約解消にこぎつけます。
そのためにも、まずは本。
本を読もう。
普段は小説をよく読むけれど、せっかくだし違うジャンルの本を読んでみようかしら。
ギルツハーク がイチャイチャしているのを見たくもないし。
そう思って、本当に興味がなかったけど、科学の棚の本を見てみた。
「へえ、君、科学に興味があるの?」
そう言って、黒髪の知らない男性に声を掛けられた。
どうしよう。
ここは、興味があるフリをしたほうがいいかしら…
「えっと…その…」
どうしよう。
「ディアは、化学には全く興味がないよ」
そう声がして振り向くと、ギルツハーク がいた。
「ディア、小説はこっちの棚だよ」
そう言って、さっきいた場所を指さされる。
知ってる。
そこから逃げてきたんだからほかっておいてほしい。
「そうなんだ。俺は科学に興味があるんだけど。よかったら、ちょっと話さない?」
黒髪の男性にそう言われて、少し悩む。
「あ、俺、アルベルトって言うんだ」
そう自己紹介してくれたアルベルトは、私より1つ年上だった。
「好きなことばかりやっていたら、留年しちゃってね」
そう言って笑う。
「…男の人も、女性の前で笑うんですね」
私がそう言うと、アルベルトは驚いた顔をした。
「そりゃあ、笑うでしょ。特に、可愛い女性の前では、ね?」
そう言って、頬をつつかれた。




