32 まるでデートをしているようで困ります
結局、雑貨店でギルツハークはネックレスを買っていた。
あんな風にプレゼントを選ぶのね。
…私はもらったことないけど。
カニクリームコロッケの美味しいお店に到着して2人で食事をする。
「あの…ギルツハーク様はカニクリームコロッケでよかったんですか?」
ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「え…ああ。俺は何でも食べるから。その…好き嫌いとかなくて…」
ギルツハークが困ったように食べている。
「そうなんですね…その中でもお好きな食べ物って何ですか?」
「え…ああ…好き嫌いはしてはいけないと教えられてきたから。なんだろうね」
ギルツハークは本当にわからないみたいだ。
「私もギルツハーク様も、教えられたことを守って、守りすぎてしまいましたね」
そう言いながらカニクリームコロッケを食べる。
本当に美味しい。
さすがはアルベルトが紹介してくれたお店だ。
「美味しい」
私がそう言うとギルツハークが私を見つめる。
「今度は、俺がお店を探すから、また一緒に食事をしてくれる?」
そう言われて、驚いてしまった。
ギルツハークに食事に誘われるなんて思わなかった。
「…はっ!」
わかってしまった。
ギルツハーク、想い人とのデートの予行練習をしたいのね。
…でもそれなら、今日のでいいのじゃないかしら。
1回では不安なのかな?
「ディア。たぶん、君が思っていることと違うけど…どうかな?」
少し悩んで、あいまいに答えておいた。
私といることで想い人が勘違いをしたら、ギルツハークに申し訳がない。
カニクリームコロッケを食べ終わると、アルベルトが教えてくれた帰り道で帰る。
「…うわぁ」
思わず声が漏れた。
アルベルトが教えてくれた道は、イルミネーションがとても綺麗だった。
「綺麗ですね」
そう言ってギルツハークを見ると、ギルツハークと目が合った。
「すごく、綺麗…」
そう言われて、なぜかドキッとした。
私に言ったんじゃなくてイルミネーションのことを言ったのに。
綺麗…なんて、ギルツハークに言われたことなんてない。
うぬぼれてしまうところだった。
「イルミネーションなんて、初めてみますね」
そう言ってギルツハークと一緒に歩いた。
本当にデートみたい。
ギルツハークの家の前まできて「それでは」とお辞儀をする。
「え?…いや、家まで送るよ」
ギルツハークに言われて、それは断る。
「本当は私がご馳走する予定でしたのに、すっかりご馳走になってしまいましたし。これ以上は申し訳ありませんから」
そう言って何度も断ったけど「もう遅い時間だから」と結局送ってもらってしまった。




