28 体調が悪くてお休みしてしまいました
ぱふっと何か柔らかいものの上に乗せられた。
目を開けたいのに、どうしても開かない。
体も動かないし、どうしてしまったんだろう。
ギシっと音がして、誰かが私に覆いかぶさっている感じがする。
とても不愉快な息遣いがして、首にその息がかかった。
本当に気持ちが悪い。
やめてくださいと伝えたいけど、やっぱり声が出ない。
バンっと音が聞こえて、男性が言い合っている声が聞こえる。
賑やかだわと思っていたら「ディア!」と誰かに体を揺すられた。
私のことをディアと呼ぶのは、アルベルトがギルツハーク。
この声は、ギルツハークね。
どうしてそんなに何度も呼ばれるのかしら。
とても気分が悪いのに…
「んん…」
声が漏れると、体が揺すられなくなった。
ふわっと体が浮く。
ぎゅっと抱きしめてくれる腕が心地よくて、そのまま眠ってしまった。
次に目が覚めたら、自分の部屋で寝ていた。
頭がひどく重くて、気分が悪い。
「あら、ディア。起きた?大丈夫?」
お母様が心配そうにベッドに駆け寄ってくれる。
「すみません。きのう、突然、具合が悪くなってしまって。エドワード様はお帰りになりましたか?」
私がそう尋ねると、母の顔色が変わる。
「あんな人に、様なんてつける必要はありません」
そう言って部屋から出て行ってしまった。
何か怒らせるようなことを言ってしまったかしら。
なかなか体調が戻らなくて、結局その日は学園をお休みしてしまった。
夕方になると、ギルツハークがエリックと一緒にお見舞いに来てくれた。
「ディア…その、体調は大丈夫?」
ギルツハークにそう尋ねられて「大丈夫です」と答える。
「……」
今に始まったことじゃないけど、ギルツハークとは会話が続かない。
「クラウディア嬢は、異性間交流会…?だっけ、初めて参加したんだよね」
エリックがそう話題を振ってくれた。
「ええ。まさか、自由に帰ってもいい会だとは知らなくて。おいてけぼりにされちゃったんですけど」
そう言って笑うと、ギルツハークが「何を考えているんだ」と怒りだした。
「君は、わかってるのか?本当に、本当に、危ないところだったんだぞ?」
そう言って、ワナワナと震えている。
体調が悪くなってご迷惑をかけたのは申し訳ないけれど。
そんな…死ぬか死なないかみたいな状態でもなかったのに。
「…ギルツハーク様には関係ありませんわ」
そう言うと、ギルツハークがぐっと拳を握る。
何か言われるかもと思ったけど、ギルツハークは何も言わずに部屋から出て行ってしまった。




