21 ギルツハークが何を考えているのかわかりません
それから、ときどきフレイアに会って、ギルツハークのおすすめポイントをプレゼンしてみた。
「ギルツハーク様は真面目なところがいいですよね」
「そう?真面目過ぎて面白みがないわ」
まあ、それは否定できない。
「ギルツハーク様って文武両道ですよね」
「そうですね。どちらも優れていらっしゃるけど、人の価値ってそこではないと思うわ」
フレイアは、意外と手ごわい。
しかも、だいたい正論。
そんなわけで、2人の仲が進展しているとはいいがたい。
応援すると言ったのに、応援になっていなくて申し訳ない。
しょぼんとしながらカフェでカフェモカをいただく。
淑女たるもの紅茶、は卒業した。
飲みたいものをいただく。
と、そこにギルツハークが現れた。
「……あ、あら。ギルツハーク様。ごきげんよう」
うっかり無視しそうになっちゃった。
挨拶くらいはしないと失礼よね。
「ああ、ディア。その、ちょっといいかな」
そう言ったギルツハークは、ちょっと緊張しているみたいだ。
「ええ、もちろん。どうぞ」
そう言って前の席を勧めた。
ギルツハークはおもむろに胸ポケットからメモを取り出した。
なんだろう?
「えっと…布団がふっとんだ」
ギルツハークがメモを読んで、私をキラキラした目で見た。
「…まあ、それは大変でしたわね」
なんだろう。
「じゃ、じゃあ、えっと…電話に誰も出んわ」
またメモを読むと、ギルツハークが私を見る。
「それは、困りましたね」
電話…いつされたのかしら?
ギルツハークが「えっと…」と言いながら、メモをバサバサと入れ替えたり戻したりしていた。
電話に誰も出ないから困っているのかしら。
「どなたか教えていただけるなら、私から電話に出るようにお願いしましょうか?」
私がそう言うと、ギルツハークが「違うんだ」と言って立ち上がった。
何が違うのかしら?
相変わらず、ギルツハークが何を考えているのかわからない。
「…じゃあ」
そう言って、ギルツハークは帰っていった。
何をしにきたのかも、全くわからない。
布団がふっとんで、電話に誰も出ない。
「はっ!」
わかったかも。
もしかしたら、ギルツハークは誰かに命を狙われていて、その助けを呼びたいんじゃないかしら。
私がもっと早く察していれば。
立ち上がってギルツハークを追いかけようとして、声を掛けられた。
「…あら、アル。お久しぶりですね」
本当に久しぶりに、アルベルトとカフェで会った。




