20 またまたまた思いついてしまいました
ギルツハークと同じ学年で刺繍が得意な人。
すぐに見つかると思ったけど、意外にも刺繍が得意な人って多かった。
全然、誰なのかわからない。
カフェで刺繍をしながら同学年の女性に目がいってしまう。
「まあ、素敵な刺繍ですね」
キョロキョロしていると、突然声を掛けられた。
「え?…ああ、ありがとうございます」
見上げると、とても綺麗な女性が私を見下ろしていた。
「それ、鷹ですよね。本当にお上手ですね。鷹といえば…ギルツハーク様の家紋ですよね」
女性にそう言われて、そういえばそうだったなと思った。
でも、よくギルツハークの家の家紋を知ってたな。
こんなことをいうのも、だけど。
ギルツハークの家は、それほど大きな家ではない。
それでもご存知だったというのは、もしかして…
「あの、もしかして、ギルツハーク様のお知り合いですか?」
「ええ、同じ学年で。今は、隣の席なんですよ」
そう言って微笑んだ。
「あ、私ったら、ご挨拶がまだでしたよね。フレイアと申します」
美しい女性の名前は、フレイアというらしい。
「はっ!」
思いついてしまった。
「もしかして、フレイア様は刺繍がお得意ですか?」
そう尋ねると、フレイアは「ええ、まあ…」と答えてくれた。
間違いない。
ギルツハークの好きな相手は、フレイアに違いない。
「フレイア様はギルツハーク様と仲がいいんですか?」
思い切って尋ねてみた。
「ええ…そうですね。まあ、お隣の席ですし…ていうか、ギルツハーク様の元婚約者の方ですよね?」
「はい。でも、元、も・と、婚約者で、今はぜんぜん、何も関係がない知人ですから、私のことはご心配なく」
私の存在がギルツハークの迷惑になってはいけない。
「まあ、そうなんですか?…ギルツハーク様、最近、女子生徒からの厳しい態度で、とても落ち込んでいらっしゃいますよ」
そう言って心配そうな顔をしている。
これは、チャンスなのでは?
「それでしたら、フレイア様がギルツハーク様を元気づけてあげるのはいかがでしょうか?」
そう言って、フレイアの手を取る。
「え?私が?…なぜ、私が?」
フレイアがちょっと引いている。
でも、ここで私まで引くわけにはいかない。
「それはもちろん、お隣の席仲間だからですわ!」
なんとかして、ギルツハークとフレイアが仲良くなれるように応援しないと。
この反応を見るに、フレイアはギルツハークのことをなんとも思っていない。
少しでも好きになるようにフォローしなくては。




