14 デートをしない理由は今ならわかります
「でも、プレゼントはもらったことがあるんだろ?」
アルベルトがそう言ってくれた。
「ええ…誕生日に白い薔薇の花束を…毎年」
毎年贈ってもらえる花束。
「ん?…花束、と?」
アルベルトが次を待っている。
「花束…だけです」
そう言って、うつむく。
小説で読んでいるから知っている。
婚約者からのプレゼントが花束だけだなんて、どれだけ愛されていないんだろう。
「プ、プレゼントはさておき、だ。誕生日はデートをするんだろ?」
アルベルトにそう言われて、本当に困ってしまった。
アルベルトは気をつかって聞いてくれているとわかったから。
嘘でもいったほうがいいかと思ったけど、アルベルトに嘘をつく必要もない。
「ギルツハーク様は、お出かけが嫌いだから。毎年、我が家で…お茶を飲んで帰っていかれます」
デートで外に出かけたことはないと言うと、アルベルトがあきれていた。
「ディアは何歳の時に婚約したの?」
「…5歳です」
「じゃあ、それからずっと?誕生日は白い薔薇の花束で、クリスマスはケーキを食べるだけ?ろくにデートもしてない?それで、恋愛感情なんて生まれるわけないじゃないか」
アルベルトが、とても大きな声でそう言った。
そんなに大きな声で言わなくても、と思っていたら、私の後ろの席からギルツハークの声がした。
「そんなことはない!」
そう言って、ギルツハークが立ち上がる。
ギルツハークがいたことに驚いて、何も言えなくなってしまった。
「いやいや、ギルツハーク。年頃の婚約者に、アクセサリーのひとつもプレゼントしないなんて、ナイよ?男としてナイ」
アルベルトはギルツハークが居ることを知っていたんだろうか。
すごく自然に会話をしている。
「ディアもアレだと思ったけど、ギルツハークもかなり、アレだよ。っていうか、そもそもの原因はギルツハークじゃないか」
アルベルトがそう言って怒っているけど、アレって何?
…って、考えているところじゃなかったわ。
「ギルツハーク様、偶然ですね。ギルツハーク様もカフェにいらっしゃることがあるなんて」
私がそういうと、ギルツハークがオロオロとして、咳払いした。
「そうなんだ。偶然、学園の隣だから偶然、カフェに来てみたら、偶然、ディアの後ろに座ったみたいだ」
そういうこともあるだろう。
ただ、私とカフェに来たことは1度もない。
おひとりではこうやって来ていたのね。
「デートをしないのは、あれだよ…」
ギルツハークが困っている。
「…ギルツハーク様、大丈夫です。私、今ならわかりますもの」
私がそう言うと、アルベルトが興味あり気に…少しニヤニヤしながら私を見ている。
「私なんかと街をふらふら歩いていて、想い人さんとうっかり出くわしてしまったら大変ですものね」
そう言うと、ギルツハークが口を開けて私を見た。




