11 別居婚で私はどうすればいいのでしょうか
「あはははは…本当に、あはははは…面白いね、ディアは…」
アルベルトがお腹を抱えて笑っている。
何がそんなに面白いのかはわからないけれど。
「笑い事ではありません、アル。円満婚約解消計画は無くなってしまったんです」
私は泣きそうなのに。
「ああ…ごめん、ごめん。そんな顔しないでよ。…で、別居婚?、するの?」
アルベルトに言われて、悩む。
「ギルツハーク様のお役に立ちたいとは思ってるんです。でも…別居婚ということは、私は他の人と結婚できないってことですよね。ギルツハーク様がいない家で…ひとり」
そこまで言って、また涙が出そうになって、声が出せなくなった。
「それは、ギルツハークが居ないから寂しいの?それとも、ひとりでいるのが寂しい?」
アルベルトにそう尋ねられて、首を傾げた。
「同じではないですか?」
「全然違うよ。ギルツハークが居なくても、誰かが一緒に居てくれれば寂しくないって話ならね」
アルベルトが座りなおす。
「ギルツハークが家に帰ってこないなら、ほかの誰かと一緒に住めばいいだろ?」
アルベルトが言っている意味がわからない。
「その家で、ギルツハークの代わりに、俺がディアと一緒にいたら、どう?」
そう尋ねられて、それは毎日が楽しそうだと思った。
ああ、そういうことか。
私はギルツハークに想い人がいて、私のことを好きになってくれないから寂しいんじゃない。
ひとりでいたくないと、そう思っているだけなんだ。
私のこの思いは、恋や愛と言えるんだろうか。
「アルは、私の気持ちに気がついていたんですか?」
思ったより、私は冷静だ。
「そうだね。もしかしたらそうかなって、思っただけ。ごめんね、傷つけた」
アルベルトがそう言って、ハンカチを私に渡す。
どうしてハンカチ?
そう思っていたら、ポタっとテーブルに液体が…涙が落ちた。
いつの間に泣いていたんだろう。
慌ててハンカチで涙を拭う。
「違うんです。自分で自分の気持ちに気づいてなかったことに驚いて…そっか。私、ギルツハーク様のこと好きなわけじゃなかったんですね」
ひどい…私は、ギルツハークになんてヒドイことを。
婚約をやりなおしたいと言っているのを聞いたとき、ギルツハークはなんてヒドイ人なんだろうと思った。
応援するとか言いながら、心のどこかでギルツハークのことを恨んでいた。
でも、私にそんな資格なかったんだ。
ギルツハークのことをなんとも思っていない私のことを、ギルツハークはいつも守ってくれていたのに。




