マーサの依頼
「マーサ!」
アリアがマーサに駆け寄り抱きしめる。
「ちょ、アリア!」
「・・あ!ご、ごめん!つい、顔を見たら・・。」
我に返って抱きしめるのを止めるアリア。
その光景にルパート達は優しい表情を見せている。
「マーサ、お父さんの事だけど・・。」
アリアが早速話題を切り出す。
「分かっている。皆がやったなんて一ミリも思ってないさ。」
「そうか、なら良かった・・でも、そうなるといったい誰があんな事を。」
「真実は分からないけど、予想ならできている。」
「・・マーレインって奴か。」
「元々、里長の座を狙っていた奴だ。現状、マーレインがこの里の実権を握ってしまっている状況だ。」
「なんてことを・・。」
「皆が捕まっている間に事が大きくなっていったんだ。とりあえず、話は中でしよう。ついてきて。」
扉をくぐり抜けてマーサの後をついて行く。
灯りが照らす一本道。
前に歩き続けると人が行き交う広い空間に出た。
机や椅子、武器や様々な道具が揃っているのが確認できる。
話し合いをする人間もいれば、せわしなく道具を運んでいる人間もいる。
「ここは、王龍の里の地下にある秘密基地。通称”龍の隠れ家”と呼ばれている場所だ。」
「ひ、広い・・。」
あまりの広さに開いた口が塞がらない。
里でさえ大きいはずなのに、地下にも広い空間があった事に驚きを隠せないでいた。
「どうやったら、ここまで広い空間を地下に作れるんだ・・。」
「ドラゴンだよ。昔のドラゴンライダー達が穴掘りを得意とするドラゴンを従わせて作ったと言われている。」
「マーレインは、この場所を知っているのか?」
「知らない。ここは、親父直属の精鋭部隊しか知らされていない場所だからね。」
「なるほど、ドルトンさんの。精鋭部隊ということは、マーサさんも所属しているという事だ。」
「その通り。親父が死んだから、精鋭部隊の指揮権が後継者である私に移ったというわけ。ここの統括者も私。」
そうであれば、マーレインの奇襲に合う事はないだろう。
だが、それにしたって人が多い。
「精鋭部隊って、こんなに人が多いのか。」
「多いのも当然。王龍の里のドラゴンライダーは、二派閥で別れているんだ・・。」
マーサが喋るのを止める。
「マーサさん?」
急な沈黙に困惑する。
バウアーは、その沈黙が何を意味するのか察し様子を見守っている。
「この人数が多いのも。今、作戦を動かそうと準備しているからなんだ。」
「作戦?それって・・。」
「・・ここからは、里長ドルトンの後継者であるマーサとして頼みたい。」
考えが纏まったのか、マーサは真剣な表情でこちらを見つめてきた。
その表情から真剣さが伝わったのか、ルパート達の背筋も自然と伸びる。
「フレア協会のクロノス・クロス殿。どうか、この王龍の里を助けてくれませんか?」
お読みいただき、ありがとうございました!
マーサの抱えているモノの重さが伝わってくるお話しでした。
面白いと思ったら評価・ブックマーク・コメントで応援いただけると嬉しいです!




