市場にて
「うおおお!!!」
最上層まで階段で駆け上がった時とは全く違う体験。
ルパート、アリア、マーサは、最上層から下の市場へと続く坂道をハウドラゴンで勢いよく下っていく。
「到着っと!」
マーサがハウドラゴンから降りる。
一行は、市場の近くにあるハウドラゴンの待機場に着いた。
「酔った・・。この体験・・やっぱりしんどい。」
「ルパートさん、だいぶ辛そうですね。」
「絶叫系の乗り物は勘弁です・・。」
「絶叫系・・?」
聞いた事のない言葉に不思議がるアリア。
「ほれ、ルパートさん!何をへばっているんだい!すぐそこが市場だ、行くぞ!」
「は、はいい・・。」
ルパートとは違って乗り慣れているマーサの勢いが凄まじい。
よろよろと歩き出すルパート。
その横で、アリアがルパートの身体を支えている。
「・・しょうがない。知り合いが営んでいる薬屋があるから寄ろうか。酔いに効く薬があるはず。」
「お、お願いします・・う。」
腹からモノがこみ上げてくる感覚に耐えるルパート。
程なくして、三人が歩いていくと人が多く行きかう場所に出た。
「思っていたよりも沢山人がいるんですね!」
「この里は大きいからな!その分、里の住人も多い!」
興味津々なアリア。
気分が悪い状態のルパートも周りを見渡しながら歩いていく。
八百屋、武器屋、洋服屋など衣食住が充実している事が分かる。
だが、ルパートの状態は悪化していく一方であった。
「まずい、人酔いもしそう・・。」
「ええ!」
人混みの流れで酔いが更に加速してしまうルパート。
「マーサさん!あと、どのくらいですか?」
「もう着いた。ここが薬屋だ。」
三人は足を止める。
外観は古い家屋という感じ。
マーサに続いて、ゆっくりと店の中に入っていく。
少々薄汚れているが、中は掃除がいき届いており綺麗だった。
「オバン!オバン、いるか!」
店奥の方に呼びかけるマーサ。
すると、小柄なアフロヘアーの老婆が店の奥から出てきた。
「五月蠅いのう・・ああ、マーサか。何用だい。」
「酔い止めの薬が欲しいんだ。客人が地龍に乗って酔っちゃったんだ。」
「客人とは珍しい、いつぶりだろうね。そこのお二人さんかい?」
「そう、紹介するよ。ルパートさんとアリアさんだ。」
お辞儀をするルパートとアリア。
だが、その行動がトリガーとなってしまう。
酔いに耐えていたルパートの口から汚物が放流されてしまった。
周りの様子は言うまでもなく大慌てとなる。
・・・数分後・・・
「・・全く。客人とは言えども店を汚してもらっては困る。」
「すみません、オバン様。」
アリアが店主のオバンに謝罪をする。
汚した当人は、店の窓際で横になっていた。
「掃除はしてくれたんだ、許すさ。薬はもう少しで効いてくるはずだ。」
体調不良となったルパートは、オバンから薬を処方されて暫く薬屋で休む事となった。
「じゃあ、オバン。ルパートさんの事、暫く頼むよ。私は、アリアさんを案内してくる。」
「よろしくお願いします。」
任せておきなさい、と言葉を告げられて女子二人組は市場へと向かう。
マーサの案内で、王龍の里でしか売られていない食べ物や道具などを見ながら市場を巡り歩いていく。
屋台に寄ってみたり、装備を見てみたりなどなど。
そうして二人が市場で過ごしている内に、気づくと辺りは夕方になっていた。
「あのドラゴンのお肉、凄く美味しかったです!」
「そうだろう?あのジューシーさが堪らないんだ!他にも、もっと美味しいものがあるんだ!」
「ぜひ、食べてみたいです!・・あ。」
「ん?」
マーサがアリアを見ると景色を見ていた。
アリアが見ている方向には、沈んて行く夕陽と、それを背に里に向かって飛んでくるドラゴンライダー達の姿が見えた。
「ああ、あれか。任務を終えたドラゴンライダーが帰ってきているんだ。」
「良い景色ですね。」
「そうか?もう見慣れてしまって何とも思わなくなった。」
「でも、この里でしか見れない景色です。私は幸運です。」
「・・確かに、ここでしか見れない景色だな。」
二人は、ドラゴンライダーが里の下へと飛んでいき出入口へと入っていく姿を見届ける。
「アリアは本当にドラゴンが好きなんだな。」
「え?」
「ん?あ、つい呼び捨てにしちゃった。」
「ふふっ、いいですよ。アリアって呼んでください。それなら、私はマーサって呼びますね。」
「ハハッ、分かった。それで、アリア。アリアは、ドラゴンとルパートさんならどっちが好きなんだ?」
「えっ!!」
マーサの突然の発言に固まるアリア。
「だって、そうだろう?マーサがドラゴンに向ける感情とルパートさんに向ける感情が似てるし。」
「は、はわ。はわわわわ!!」
赤面しながら慌てたてるアリア。
「マ、マーサさん!この事はご内密に!!」
「あ、さん付けに戻った。」
「ご・な・い・み・つ・に!!」
「わ、分かりました。」
フーフーと息を整えるアリア。
それを見てマーサは笑っている。
「そろそろ、ルパートさんを迎えに行くか。」
「そ、そうですね。だいぶ、時間が経ってしまいましたし。」
薬屋へと向かって歩いて行く二人組。
暗くなっていく中でも、片方が肘でもう片方の肩をつつく姿が分かる。
彼らの仲を表すかの様に、二人の影は真っすぐに重なり合っていた。
お読みいただき、ありがとうございました!
アリアとマーサ、彼女たちの距離はグッと近づいたでしょう。
面白いと思ったら評価・ブックマーク・コメントで応援いただけると嬉しいです!




