悪の洞穴5層です2
「……はい。はい、ごめんなさい……。はい……」
勝ったからそれでヨシ! と無罪放免とはいかず、正座する俺を三人で囲ってお説教が続く。
当初の予定を完全に無視し、敵の分析も終わらないまま作戦もなくまっすぐにボスに突っ込んでいった俺には反論なぞできるはずもなく、「反省しているのか?」という言葉を盾に繰り出される要望をのらりくらりと躱すので精一杯だった。成し遂げたぜ。
「まったく……。そんなにあの盾がほしかったわけ? メイの戦い方を見た感じ光だけじゃなくて闇も消されてたみたいだし、メインの火力を消しちゃうんじゃ必要なくない?」
「いや待って、この盾をよく見てくれよ。これ俺用の装備なんだって!」
「なんか怪しい気が……一応こっちにしておこうかな。『鑑定』」
「……ふむ。確かに名前の見えとる部分はお主の職業と一致しておるの」
「ユウカの『力』でも全部は見れないんだ」
「わしの『見透かす瞳』は移植された物じゃからな。祖母がもしかしたら今のお主らと同じ文字数だけしか見えておらんかった可能性もある。そのあたりの話はさっぱり聞いておらんし」
『解析』しか使えないキャラビーには????の盾と、文字は解放されていない状態で見えているそうだが、『鑑定』と『見透かす瞳』で見ている二人には俺と同じように聖魔??の盾と二文字が見えているようだ。
しかし、盾の名前を見ても尚、二人は俺の言葉に半信半疑だった。
「しかし信じられんの。以前お主が言っておったその職業がレベルアップした際に手に入れたスキルに対して効果が見合っておらんではないか。光も闇も消してしまうのじゃろう?」
ユウカの言葉はごもっともではあるが、今この場に確実に俺の職業の専用装備があることは間違いない。感覚的な物ではあるがそれは確かなのだ。
「うーん……私もベルトを手に入れた時に自分のだって感覚はあったからメイの言わんとしていることはわかるんだけど……」
「ご主人様、実際に試してみてはいかがですか? 盾の効果を発動中に相手は使えなくなってもご主人様だけは影響なく使えるということであればそれは大いにアドバンテージになりますし、ご主人様は特別ですから!」
「最後のはちょっと置いておくとして証明にはなるよな。ちょっと離れてくれ」
俺は正座によってしびれる足に鞭打って横に寝かせていた盾を構える。サイズ的に『龍化』したらいい感じになりそうではあるが、今は背伸びせずに上にあげた手がギリギリ持ち手に届くくらいだ。
「それじゃまずは盾の効果を使うぞ」
盾に魔力を流すと、広場が再び戦闘中に見ていたような結界に覆われた。発動にこそ魔力をそこそこ持っていかれるが、一度発動してしまえばそこからの消費はかなり少ないようで、あっという間に『再生』の回復力が上回った。
戦闘中は俺以外は使う機会がなく効果を感じ取れなかったが、物は試しとばかりにマナが両手の人差し指の先に光と闇の魔法をそれぞれ展開しようとしていた。
「ほんとにどっちも使えないね。発動した端からかき消されてるや」
「込める魔力を挙げてもダメだから無理はするなよ。『ダークネスナックル』も纏おうとしたらかき消されたし」
「そっか。おっと、邪魔してごめんね。メイ試してみて」
『聖魔??の勇者』で得られたスキルのうち、半分近くは既に消失しているが、ぱっと使えるスキルもまだ残ってはいる。その中からわかりやすそうな物として選んだのは『魔なる光』だ。
「『魔なる光』」
突き出した手のひらから闇属性の光が……出なかった。
「いやいやいや『魔宝刀』」
グラウコスを取り出してその刀身を強化……できなかった。
「『魔なる構え』!」
両手を使うために盾は体で支えることになったが、防御力を上昇させるためのスキルを発動……したがなんの感覚もない。
「……えぇ」
「だめなのね」
「そんな……せっかく、せっかく俺用の装備を見つけられたと思ったのに産廃だなんて……」
力が抜けて支えを失った盾が倒れ、俺もまた地面に倒れ伏す。いや、若干の嫌な予感はあったのだ。
以前守護龍様の試練を乗り越え、報酬として宝箱から手に入った聖魔??のスカーフ。それを装備した時にはゴーグルと共鳴するような反応があり、出し入れ自由になっていた。対して、この盾を持った時にはそんなことはなかった。それこそが俺用の物ではないという証拠とも言えるのだが、無意識に否定していたのだ。
「残念ながらその盾はお蔵入りか売却いきじゃの。ゴールドのところなら高く買い取ってくれるじゃろうか?」
「ユウカ様、ゴールド様はたしか盾を新調したことでお金がないと愚痴をこぼしていましたし厳しいのでは……」
「それならオークションかの。それかメイよ、喰らうか?」
「……ここは資金源にしようか。喰らったらこの結界をスキルとして使えるようになるかもしれないけど、それだと正直使い勝手が悪い」
落胆は激しいが、ここは潔く諦めて手放す方向にしておこう。みんなが使うには重すぎるしな。
「よろしい。切り替えができたメイ君にはこちらを進呈しましょう!」
いったんアイテムボックスに盾をしまって地面から立ち上がった俺に、回復魔法の杖と幻影の魔剣をしまったマナが、残されていた最後の一つであるアンクレットを渡してきた。
『聖魔??のアンクレット:相反する2つの力を合わせ持ち、装備した者の足首がぐねるのを防ぐ』
「は?」
スケルトンチャンピオンが装備していた時には他の防具に隠れて見えていなかったからやっていなかったが、渡された際に『鑑定』で見たところ思わず声がこぼれた。
「え? は? え、これ?」
「メイの感覚自体はあってたらしいね。だけど、半端に盾が見えちゃってたからこっちには目が言っていなかったでしょ? 思い込みって恐ろしいよね」
「なんじゃもう一つあったのか?」
「そうみたい。多分こっちがメイの装備だね」
「……」
苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべながら俺はアンクレットを右足につける。でかいスケルトンチャンピオンが身につけていた物とは言え、あいつらは骨だけだったせいか俺の足のサイズにぴったりだ。
アンクレットを装備してすぐにゴーグルとスカーフが共鳴を起こしてやんわりと光を放つ。数秒で光は消え、スカーフの時と同じようにアンクレットも出し入れが自由になった。
「おめでとうメイ。宝箱回収してひとまず帰るよ」
「ああ。なんか、本当にすまん……」
「ところで、メイはアンクレットの意味知ってる?」
「意味? お守りとかそういう感じだってことは知ってるよ。これも足首を守ってくれる装備だ」
「……そう。男性は左足の方がいいらしいよ?」
「ん? そうなのか?」
元は女性用の古代のお守りだったとか聞いたような記憶はあるし、男が身につけるアイテムとして変わる中でそういう意味が出たのだろうか? 俺はマナの言葉に従ってアンクレットを左足に移し替える。一度消して出しなおせばあっさりだ。付け替えが終わったのを確認して顔を上げると、とてもいい笑顔を浮かべた三人がいた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
神官 (50) 剣闘士(60) 重戦士(70)
龍人 (20) 死龍人(20) ローグ(70)
魔導士 (90) 精霊使い(40) 舞闘家(70)
有効職業
聖魔??の勇者Lv26/?? 大鬼人 Lv29/40
上級獣人Lv20/30 魔人 Lv18/20
探究者 Lv47/99 狙撃王 Lv21/90
上級薬師Lv21/80 上級龍人Lv6/30
死霊術師Lv49/100 アーマーナイトLv14/99
剣闘騎士Lv14/99
非有効職業
呪術師 Lv1/80 死龍王Lv1/30
盗賊王Lv1/100 大魔導士Lv1/100
上級精霊使いLv1/50』
過去の話の矛盾をいくつかご指摘いただきまして…修正しました。ありがとうございます!
大きいものとしてはドラゴン<竜<龍 にしました。邪龍襲来の頃と守護龍の試練の頃で逆のこと書いてました…。
ではまた次回




