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魔竜の終焉と、新たなる英雄



ギィィィィィィィィィンッ!!!!!


ハヤトの右腕から放たれた極太の雷撃――《極光の雷槍オーロラ・ランス》が、古の魔竜の巨体を貫いた。

絶対的な魔力耐性を誇っていた漆黒の鱗は、物理的な破壊力ではなく、「すべてを穿つ」というハヤトの強烈な『概念イメージ』の前に成す術なく砕け散ったのだ。


『ガ……ァァ……ッ!?』


魔竜の巨大な瞳が見開かれ、その口から断末魔の咆哮が漏れる。

直後、ハヤトの雷撃が魔竜の体内を満たしていたドス黒い瘴気を完全に浄化し、巨体は内側から眩い光を放ちながら、ボロボロと崩れ始めた。


「ば、馬鹿なッ!? 絶対魔力耐性が、ただの雷魔法に撃ち抜かれただと!?」


上空で高見の見物をしていた闇ギルドのリーダーが、信じられないものを見るように目を剥き、絶叫した。

「雷魔法じゃない……」

魔竜の巨体が光の粒子となって消滅していく中、ハヤトはゆっくりと息を吐きながらリーダーを睨み据えた。


「これは、俺と彼女たちの『願い』だ。理屈でコーティングされたお前らの安い絶望なんかで、止められるもんか」


『ゴオォォォォォォ……ッ!』

魔竜は最後に光の柱となって天空へと昇り、完全にこの世界から消滅した。

それと同時に、闘技場を包み込んでいた炎の壁や、周囲のドス黒い瘴気も嘘のように霧散していく。


「あ、ああっ……魔竜様が……! 逃げろッ! 撤退だ!」

リーダーが慌てて空間転移の魔法陣を展開しようとするが、彼らの背後に、怒りに満ちた声が響いた。


「生徒を危険に晒しておいて、逃げられるとでも思ったか、外道ども」


気絶から回復した教師たちと、駆けつけた王都の魔導騎士団だった。

魔竜という最大の脅威が消え去った今、残された闇ギルドの魔術師たちはただの烏合の衆に過ぎなかった。あっという間に魔封じの手錠をかけられ、次々と捕縛されていく。


「終わった……」


ハヤトは限界を超えて魔力を使い果たした反動で、ガクンと膝をついた。

右腕は酷く火傷したように熱を持ち、全身の筋肉が悲鳴を上げている。そのまま闘技場の石畳に倒れ込みそうになった瞬間。


「ハヤト君ッ!!」

「ハヤトッ!!」


四つの異なる香りと温もりが、崩れ落ちるハヤトの身体を同時に支えた。


「無茶しすぎよ、この馬鹿……っ!」

シルフィが涙目でハヤトの背中を支え、そのままギュッと抱きしめてくる。


「すぐ治しますから! 冷たくて気持ちいいお水ですからね……っ!」

アクアがハヤトの熱を持った右腕を両手で包み込み、優しい回復魔法を注ぎ込む。


「ははっ、やっぱりアンタ最高だよ、ハヤト! 世界で一番かっこよかった!」

テラがハヤトの頭を抱え込み、自分の豊かな胸に押し付けながら満面の笑みで撫で回す。


「……約束通り、最高の道を作ってあげたわ。感謝しなさい」

ノクスが、少しだけ誇らしげな微笑みを浮かべながら、ハヤトの頬の汚れをそっと指先で拭った。


四人の天才美少女たちに囲まれ、抱きつかれ、介抱されるハヤト。

普段なら男子生徒たちから殺意の視線を向けられる状況だが、今のコロシアムに彼を妬む者は一人もいなかった。


「……すげえ。あいつ、本当に魔竜を一撃で……」

「Fランクの落ちこぼれなんかじゃない。あいつは……本物の英雄だッ!!」


炎の壁から解放された生徒たちの中から、一人が叫んだ。

それを皮切りに、コロシアム全体を揺るがすような爆発的な大歓声が巻き起こった。


「ハヤトォォォォォッ!!」

「ありがとうッ! 俺たちを助けてくれて!」

「ルミナス学園の最高傑作だッ!!」


数万の観客と生徒たちが、立ち上がり、涙を流しながらハヤトの名を叫び、拍手喝采を送る。

かつて、静電気しか出せずに「最底辺」と嘲笑されていた少年が、完全に学園の頂点に立ち、全員に認められた瞬間だった。


「……なんか、すごいことになっちゃいましたね」

ハヤトが苦笑しながら、四人の少女たちを見上げる。


「当然よ。私という最高のライバルに勝った男が、これくらいで持ち上げられてもらわなきゃ困るわ」

シルフィがツンとそっぽを向くが、その耳は真っ赤だ。


「ハヤト君……私、ずっとハヤト君を信じてました。最初から、ずっと……」

アクアが熱っぽい瞳でハヤトを見つめる。


こうして、未曾有の危機に見舞われた今年の『学内ランキング戦』は、魔竜討伐という前代未聞の結末をもって幕を閉じた。

試合は中断されたため、公式なランキングこそ保留となったが、全校生徒と教師の総意により、ハヤトには特例として『特Sランク』という学園史上初の称号が与えられることになる。


そして、遥か遠く、万象の塔の最上階。

水晶球越しにその光景を眺めていた大魔道士ステラは、ふわりと妖艶な笑みを浮かべていた。


「ふふっ……理屈という檻を壊した途端、随分と面白い羽ばたき方をするじゃない。……でも、あなたの本当の魔法の探求は、まだ始まったばかりよ、ハヤト」


物理を捨て、願いの力で世界をねじ伏せた少年と、彼を取り巻く四人の天才美少女たち。

王立ルミナス魔法学園での彼らの騒がしくも輝かしい日々は、ここからさらに新たな波乱の幕開けへと続いていくのだった。

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