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REFLECTOR  作者: GenerativeWorks
Ritual

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32/35

第13話:記録者の手記②(後篇)


> 【記録媒体:紙/解析済】

> 【発見場所:旧帝国大学地下書庫・第三区画】

> 【筆記者:不明(推定:久保正蔵)】

> 【状態:半焼・水濡れ・一部読取不可】


(解析後・本文転写)


> ……筆跡が、途中から変わった。

> 書いているのは確かに私の手なのに、言葉が他人のものになる。

> ペンを持つ指の感覚が遠い。まるで誰かが肩越しに、私の手を動かしている。


> 音は、止まらない。

> ぴちゃん。

> 一秒ごとに、脈のように鳴っている。

> 時計が止まっているのに、世界のどこかで“時”だけが刻まれている。


久保はその一文のあと、ページの端に黒い線を引いていた。

そこから先は、まるで別人のような調子で続いている。



> “記録者”は消えない。

> ひとたび「観察」を始めた者は、

> 「見られる側」に移行する。

> それが“境界”の法則。


> 斎藤主任はそれを知っていた。

> だからこそ、最後の映像を残した。

> 彼は「観察者」を観察していた。

> 私たちを。


紙面のインクが、次第に灰色に変わっていく。

焼け焦げた端から、ところどころ文字が消えている。


だが最後の三行だけは、異様にくっきりと残っていた。


> “中”は静かだ。

> 光も音もなく、ただ水の呼吸だけが続いている。

> それでも、私はまだ「見ている」。


その下に、別の筆跡で書き足されたメモがある。

墨が新しく、まるで最近書かれたように黒い。


> 【補足:久保ではない】

> 書いたのは……“観察者”。


発見当時の調査記録によると、この手記の横に古い録音機が残されていた。

スイッチはオフ。


電源も切れていた。

しかし、再生ボタンを押した瞬間、音が流れたという。


最初はノイズ。

それから、静かな水音。


――ぴちゃん。


そして、遠くで誰かの息づかい。

その声は、確かに久保のものだった。


> 「……観察は続いている。

> 書いた言葉は、“外”へ届く。

> もし、これを読む誰かがいるなら――」


一瞬の沈黙。

そして、別の声が割り込む。


低く、湿った声。

男とも女ともつかない。


> 「――読む者も、観察の一部だ。」


録音はそこで切れた。

後日、封印資料の整理に立ち会った技術員が、最後にこう証言している。


> 「手記の最終ページが、勝手に開いたんです。

> 風もないのに。

> それに……紙が湿っていました。

> インクの跡が水滴みたいで、まるで――」


彼は言葉を詰まらせ、首を振った。


> 「――まるで、誰かが“内側から”書き続けているようでした。」


報告書には最後に、発見者の署名の横に赤いスタンプが押されている。


> STATUS:RECORDING CONTINUES


そしてページの下端には、黒いインクの滲みで文字が浮かんでいた。


FROM INSIDE

00:00:12

WATCHING YOU

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