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第二話:僕の姉さん 〜歩く天災、リナ・ノーザン〜

「シオ〜ン、大変よ! アルベルト様がお隣の商家さんの庭園の池から、錦鯉を全部逃がしちゃったんですって。今すぐ何とかして! おねが〜い!」

 ……ね? 見てよ、この混じり気なしの笑顔。

 春の陽光をそのまま形にしたような美少女、僕の自慢の最強でクレイジーな姉さん——リナ・ノーザンだ。

 僕たちは九歳の双子。えっ、「全然似てない」って?

 おっと、初対面でそこを突くなんて、君もなかなか容赦ないね!

 確かに、姉さんは亡くなった母さん譲りの「絶世の美貌」。一方の僕は、凡庸フェイスの父さん似。でもいいじゃないか、個性的で! 地味な方が実務の仕事には集中できるんだよ。

「ねえシオ〜ン。明日、急に『令嬢たちの慈善バザー』を主催することにしちゃったから、手作りプレゼントを百人分用意してちょうだ〜い。あなたの作る刺繍小物は出来が良いって評判なのよ。こんなこと、他の誰にも頼めないわ。だから……おねが〜い!」

 やれやれ。聞こえたかい?

 僕の姉さんは、よく言えば天真爛漫。悪く言えば、歩く天災。

 華やかな社交界に憧れるのはいいけれど、その準備を全部僕に丸投げするのはどうかと思うんだ。

 でも、この姉さんの「おねがい」を秒速で処理し続け、近所の商家への謝罪と賠償金の捻出の作業をこなしてきたおかげで、僕の実務能力は大人顔負けにまで鍛え上げられてしまったわけさ。

「ねえ、シオンっ!」

 ……おっと、またお呼びがかかったよ。今度はなんだろう。


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