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探偵 桜庭碧と彼を取り巻く日常について  作者: 風蓮
第二話 怪盗クックロビンからの予告状
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怪盗クックロビンからの予告状 ⑥

「まさか、あの天下のクックロビンの正体が女子高生だったとはねぇ。」

「一番運動神経良かったのがあたしだっただけよ。あたしたちは皆で怪盗クックロビンなんだから。」


後ろで思い思いにくつろぐ仲間たちを振り返りながらそう言えば、正面の男は一度目を細めてからそうだったね、失礼しました、と素直に頭を下げた。


あたしは怪盗クックロビン、怪盗役の羽鳥はとりつぐみ

そして向かい合うこの人は、あたしたちの新しい仲間。

なんでも今まで他の組織を率いていたらしく、代表として来ているこの男以外にも幾人か仲間がいるらしい。

けどまぁ、そんな細かいところなんて詮索するだけ野暮ってもんでしょう?


あたしたちは怪盗クックロビン。

派手で目立つことが好きで、何かするなら悪いやつを懲らしめる方がいいかなって、それくらいのちょっとした、正義感にも満たない心があればそれでいいの。

幸いこの人は身のこなしも軽やかで頭の回転も速くて、面白いことが好きそうだったって、それだけよ。

クックロビンの後方支援部隊はかなりの凄腕ぞろいだから、この人には現場で補助に回ってもらうことにしようかしら。

あたしは背が低い分小さな隙間にももぐりこみやすいけれど、高いところへ手を届かせるのは大変だったりもするから。

それに単純に、重たい荷物なんかを運んだり、持っている物を隠したりするのは、体が大きいほうが有利だものね。

といっても、彼も私よりは大柄だっていうだけで、男性の中では細身に入る方かしら。

だけど、これくらいがちょうどいいのかもしれないわね。

大きすぎて周りのものをひっかけたりするのはごめんだもの。


「それじゃ、あなたのことは何て呼べばいいかしら?」

「そうだなぁ……。」

「名前を明かしたくないなら無理強いはしないわ。あたしたちはそれぞれをコードネームで呼び合ってるの。あたしのことは駒鳥って呼んで。」

「なるほど、クックロビンだから? わかりやすくていいね。」


何度か頷いて、彼は私の後ろに目を向けた。

えぇと、と首を傾げながら、移ろう視線はきっと仲間たちを見ているのでしょうね。


「コードネームは自分で決めていいの?」

「えぇ。考えるのが面倒ならこっちで決めるけど?」

「うーん……コードネームに統一性は?」

「一応今のところみんな鳥の名前になってるけど、特に強制はしてないわ。」

「そっか。それじゃあ……。」


どうしようかな、と言いながら目を伏せたその人の唇が小さく動く。


「とりをとるやなぎ……」

「何ですって?」

「んっとね。もず、って、使ってる人はいる?」

「百舌? いないわ。それにする?」

「うん、じゃあそうする。」


こくりとうなずいて、そのひと改め百舌はよろしくお願いします、と手を差し出した。

勢いよくその手を握り返せば、パシンと小気味いい音がする。

ちょっと骨ばった、皮の薄い手のひら。

これは案外重いものとか持ち慣れてないかもしれないわね。

後でぶ厚めの手袋でも支給しようかしらと思いながら、もう片方の手を挙げる。


「そういうことで、皆! 新しい仲間が来たらすることがあるでしょう!?」


声を張った号令に、背後で次々と立ち上がる気配。

中には待ってましたと雄たけびにも近い歓声をあげるヤツもいて、その勢いに百舌がぱちくりと目を見張った。

あぁ、そんな隙だらけだと。


「あっという間に餌食にされるわよ!」

「くらえっ!」

「待てお前そっちは食べる用で投げる方はこっち……!」

「あぁっ早く言えよもう投げちまっただろ!?」


交わされる言葉より早く放たれた生クリームまみれのパイが、ものの見事に百舌の顔面に命中した。

ぼとぼとと塊になって落ちていくクリームに、投げた当人のあぁぁ美味しい方のケーキ……と恨めし気な声。

そんなもん後でまた焼いてやるよ! と厨房から元気な声が飛ぶ。


「我ら怪盗クックロビンは新たな仲間を歓迎するわ! さぁ、パーティーを始めましょう!」

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