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意外と知らない北欧神話   作者: アイスの棒
永き冬
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63話 休止


「学院はまだ、私たちを特に派閥ファンクション全体で探しているような動きはないようです」

「そうか、こっちは市長と歌姫が候補であがった。どっちも『赫眼』はしていないがな」


三人は宿屋の下の酒場で集まっていた。ギュルヴィとアキは飲み物を頼んだが、スノリは気持ち悪そうにして首を振った。


「確かに灰色の髪ではありますね。さらにどちらも、最近有名になった人物です」

「眷属である可能性はあるってわけか」

「しかし逆を言えば、不老であるにも関わらず今まで表舞台に立たなかったとも言えます。『不平等の民衆アンイコーラー』であれば、何百年も姿を隠していたということに」

「まぁ他に情報がないんだ。こいつらを当たってみるさ」


アキはそう言って杯を飲み干した。可能性は高くないとはいえ、手掛かりを見つけたのだ。酒が美味い。


「それで…どうするんです?市長はこの街にはいますが、簡単に接触できる地位の人間ではありませんよ」

「俺の契約神は幸運なことに盗みの神でね。誰にも気付かれずに侵入するのは得意さ。それに、場所がわかればそれでいい」


呆れ顔のギュルヴィを横目に、アキは席を立った。


「アキさん、もう休まれるんですか?」

「明日は一仕事しないといけないしな。

あともう一つ、もう呼び捨てでかまわないぞ。すでに状況が状況だ。俺とお前の仲だろ、ずっとさん付けじゃむず痒い」

「…そうですか、分かりましたよ、アキ。」


詩人は提案に肩を竦めて笑ってみせた。


「あの!私も…いいですか?」

「ん?どうした?」

「私も…私もアキって呼んでいいですか?」


テーブルから離れようとした時、スノリが言った。いつもより大きい声だ。少女も自分の声に驚くやら恥ずかしいやらで顔を赤く染めている。


「もちろんだよスノリ」


アキは少し微笑んでからそう言って、寝床に向かった。


翌日、ある塔の前----


「この塔の上が市長の執務室だそうだ。スノリ、ギュルヴィと魔力回路をつなげ」

「本当に上手くいきますかね?『不平等の民衆(アンイコーラー)』じゃなければ普通に犯罪ですよ」

「今更なにを言ってる」


少女が頷くのを見てアキは人ごみの中、一回転し跳んだ。

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