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意外と知らない北欧神話   作者: アイスの棒
光の神バルドルの暗殺
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54話 儀式


預言を食い止めるためフェンリルを捕らえたオーディンは次に、世界の光の保護、つまり光の神バルドルの護りについて対策を行うことにした。

当然のようにアキも連れられて向かった先はバルドルの母、万物の守り手である女神フリッグの元だ。


「ようこそ、我が愛しい夫とロキの眷属よ」


そう、彼女はオーディンの妻でもあり、神の国(アースガルド)における最高位の女神だ。


「フリッグ、話は聞いているな?

我々の息子、バルドルを保護しなければならん」

「もちろんです。準備はできていますよ。契約の魔法によって、この世界すべてのものは彼を傷つけないようにしましょう」


そうしてアキはある神殿の片隅に立っている。中央にはオーディンもフリッグが何やら大儀式を行っている。特にやることはないが、オーディンがここにいろと言うのだ。

オーディンは何かとアキを手元に置きたがった。きっと頭だけの巨人、ミーミルの最後の言葉を気にしているのだろう。運命の歯車を少しでも変えるために参加させているようだ。

だが、何も変わっていない。フェンリルを捕らえるのにチュールの腕が犠牲になったのも、バルドルを守るためにフリッグが世界の万物と契約の魔法を行うのも、元の世界の北欧神話に沿っていることだ。アキはこの後の出来事を知っている。


契約の魔法は成功するが、ただ一つ、オーディンの館の裏庭に生えたヤドリギの若木には適応されなかった。あまりに幼く、契約できなかったからだ。

バルドルが万物からの護りを手に入れたことで、神々は馬鹿な遊びを思いついた。それはバルドルに向かって色々なものを投げつける遊びだ。ロキは遊戯の輪に入れなかった盲目の神ヘズを唆してヤドリギを投げさせる。その枝がバルドルの命を奪うのだ。


「終わったぞ、ヤドリギだけは対象外だが、成功した。これでいかなる武器も毒も魔法もバルドルを傷つけることができない」

「それは良かったです。しかしそのヤドリギですが、他の誰かが近づけないように手を打つべきでは?」


オーディンはアキの言葉に考え込んだ。


「ふむ、確かにそうかもしれんな。考慮に入れておこう。さて、今日はもう遅い、戻るとしよう。明日はトールのところで宴会だからな。お前も呼ばれてるだろう」


アキは正直、宴会などやっている状況ではないと思ったが、神の考えを変えることはできなかった。

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