表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
意外と知らない北欧神話   作者: アイスの棒
恐ろしい三人の子供達
41/89

39話 落ちた屋敷


アキは飛び起きた。目の前でギュルヴィが驚きの表情で目を見開いている。


「え?アキさん?大丈夫なんですか?」


自分の腹の傷を見てみる。血が出ているが、表皮が切れただけだ。


「え?どうして…?」


詩人は開いた口が閉じずに間抜けな顔をしている。アキはクスリと笑った。横にいたスノリが泣き声を上げながら抱きつく。


「だから言っただろう。アキは大丈夫だって」


部屋の奥でジロウの前で何か(・・)をしているアルトがこちらを見ずに言った。


「しかし…どうして?刀身が横腹に食い込むのを見ました。かなりの一撃だったはずです…なぜ…?」

「なんだ、俺が死んだほうがよかったか?」


アキは詩人に肩をすくめてみせる。


「ロキの【不品行】の力の顕現だ。『目の前にない(・・)ものを幻影で呼び出し、目の前のものに肩代わりさせる能力ギフト』俺のは劣化しているから『目の前のものに肩代わりさせる能力ギフト』だけになってるけどな、それに一日一回限定みたいだ」


アキは一息に言った。夢の中での会話の前から、能力ギフトのことは知っていたはずなのだ。無意識に使っていたらしい。


「それより、状況を説明してくれ」

「ほんと良かったです…。

ええ、わかりました。まず、リサさんですが、不意打ちの直前に防御態勢をとったみたいで、軽傷です。今は屋敷の捜索に出ています。スノリさんも無事、特に怪我や薬の後遺症もありません。『原初の火(オリジン)』のジロウですが、情報を聞き出すためにアルトさんが蘇生しているところです」


アキは周りをもう一度見渡した。スノリはまだ、わんわんと泣きながらアキにしがみついている。ジロウに対し、アルトが魔法をかけながら治癒を試みているようだ。ソプラノはその側に立って見守っている。

ジロウの指がピクリと動いた。


「よし、これで大丈夫だろう。『血封じの種』を植えておいた。能力ギフトももう使えない」


ソプラノは呻き声をあげるジロウを椅子に座らせた。腕を魔法で拘束する。


「起きなさい」


拷問官ソプラノ容疑者ジロウの顔を叩いて起こす。ジロウは覚醒し、憎々しげな目を向けた。


「貴方は負けたわ。この屋敷は落ちた。『原初の火(オリジン)』のことはわかってる。知ってるをことを話しなさい」

「某が話すと思うか?」


答えが返ってこないのを確認して、ソプラノは顔面を殴りつけた。椅子がひっくり返り、大きな音を立てる。


「貴方は負けたの。惨めな敗北者よ」


首を掴んで無理やり立ち上がらせ、そのまま締め上げた。ジロウの顔が苦痛に大きく歪む。


「く…あ…く…」


ソプラノは手を離した。無様に地面に倒れこみ、ゴホゴホと大きく息を吸い込んでいる。


「ソプラノ」

「ええ、アルト、やはり簡単には口を割らないわ。時間が必要ね」


戦いは終わったが、双子の仕事はここからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ