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意外と知らない北欧神話   作者: アイスの棒
恐ろしい三人の子供達
37/89

35話 悪意の街


「----『二対の雫』は太陽ソラの兵舎の中でも特に名高く、古い『名前付き(ネームド)』です。双生の神、フレイルとフレイヤの血の加護が与えられ、自由のための奴隷の解放を主な任務としています」

「凄いな、正義の味方ってわけか。ん?古いってどう言うことだ?」


解説係クロボが先の二人について説明を終えた時、アキはいい方が気になって聞いた。


「アキ君知らないの?私達神の眷属は、血を受けた時点で肉体の成長が止まるんだよ。だから食べたりしなくてもいいってわけ!『二対の雫』はスノリんみたいに見えるけど、ずっと長いこと生きてるんだからね!」


リサが笑いながら説明してくれた。これはアキの中で衝撃だった。つまり不老なのだ。これで戦いで死なない限り、いつかは神々の黄昏(ラグナロク)に遭遇することになる。アキはめまいがした。


「二人とも遅いな」


街を回って夕暮れ、アキ達は集合場所である、転移してきた時の建物の前で待っていた。日の沈む前には集まる手はずだったのだが、二人の姿はない。少し不審に思っていると、凄い形相をしてギュルヴィが走ってくるのが見えた。


「ギュルヴィ遅かった----」

「スノリさん!スノリさんは一緒じゃないですか!?」


嫌な予感がした。詩人の様子は通常から逸脱している。それにスノリはギュルヴィと一緒にいるはずだ。


「何があったんだ」


アキは詩人の肩を掴んだ。ギュルヴィは泣きそうだ。


「あぁすいません!私が悪いんです!商人と少し話をしていた隙に、スノリさんから目を離したんです。それから見失って、周りを精一杯探したんですが----」

「スノリはどこだ!どこにいるんだ!」


アキは詩人の肩を掴んだまま揺さぶっていた。頭に血がのぼる。スノリがいない?そんなバカな。


「アキ君!落ち着いてよ!」


リサがアキの手を掴み引き剥がした。アキは詩人を睨みつけた。

パンと乾いた音、頰に軽い痛みが走る。リサが引っ叩いたのだ。


「アキ君!なにしてるの!?今はそんなことしてる場合じゃない!ギュルヴィがわざとスノリを見失っていうの!?しっかりしてよ!」


血の気が引いていくのを感じた。ギュルヴィは座り込み、自分を責めているのが明らかだった。当然、詩人が少女を見捨てるわけがない。誰よりも誠実な男だ。


「…すまなかった。ギュルヴィ、リサ。

クロボ、どうすればいいと思う?」

「…『二対の雫』と合流しましょう。彼らの方が、この街における人攫い、奴隷売りの情報を持っているはずです」


クロボは淡々と言ったが、内心にアキと同じように激しい怒りが渦巻いているのがわかった。アキは自分を恥じた。

元奴隷の少女を、再び奴隷にさせてたまるか。


「おや、『月明かり』とアキじゃないか、それに『魔術詩人』か、豪華な旅隊パーティだね」

「なんだか、急いでるようね。どうしたの?」


酒場に駆け込むと、既に双子が座っていた。アキ達は急いで状況を説明した。


「ふむ、それは間違いなく人攫いだろうね。彼らの手口は、背後から筋弛緩系の薬物を投与し、声も出せなくなったところを袋に詰めるというものだ。ギュルヴィはどうしようもなかっただろう」

「どうすればいいんだ!教えてくれ!」


アキはまた血が上っていくのを感じた。この双子は落ち着きすぎている。すぐに行動を開始するべきなのに。


「アキ、落ち着いて。私たちはその娘が拐われてなくても、奴隷を解放するために来てるのよ。一つ場所を見つけたわ。後はそこを襲って、捕らえて、解放するだけ。責任者の口を割らせて芋づる式に捕らえるわ」

「いつ始めるんだ!?」

「全く君は落ち着きがないな。僕らは味方がいるからそれを待っていたんだ」

「そう、君たちのことよ。集まったんだから、今すぐ行動するわ」


双子は素早く立ち上がり、宿屋を矢のように飛び出した。

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