皆が帰還したぜ
報せがあってから二日後、半兵衛たちが帰ってきた。
本当は本陣の人はもう少し遅れてくる予定だったが、皆戦の昂ぶりが収まらないのか爆速で帰ってきた。
皆を出迎えるため、俺と他の家臣たちは城門の前まで来ている。
「……帰ってきたな」
馬に乗った半兵衛を先頭に兵たちが続々と門をくぐった。
思ったより皆生き生きとした顔だ。
その中でも一際元気なのが六郎と下野守だった。
「殿ー!」
「殿!」
二人とも腕をブンブン振りながら近づいてきた。
うーん。
ニコニコである。
戦後というのにこの明るさ、見習いたいものである。
「二人とも無事で何よりだ」
「はっ!」
六郎がガバッと頭を下げる。
それに習うように頭を下げた下野守に目を向ける。
そういえばこの男と約束してたことあったな。
そんなことを思いながらふと声をかけてみる。
「小右衛門?」
すると急に顔を上げる下野守……改め小右衛門。
その顔は驚きに染まっていた。
なんだこいつ。
自分でした約束忘れたんか。
「お、覚えていらしたとは……」
二日前だぞ、なめんなよ。
「嫌なのか?」
「いえ!そのままで!」
勢い良く言う小右衛門。
素直でいいことだ。
しばらくかかるかもしれないけど、これからゆっくり移行していこう。
めっちゃ時間かかるし、間違えると思うけどね。
「殿」
二人の後ろから半兵衛は現れた。
相変わらず病人のように顔は白いが、その頬だけ戦による興奮のせいか赤く染まっていた。
「……半兵衛!」
「只今戻りました」
体をまじまじ見るが怪我はなさそうである。
当たり前か。
別に戦場で直接戦っていたわけではないからね。
そりゃそうか。
「よく勝てたな」
そう言うと半兵衛は口端をつり上げながら答えた。
「策が当たりました」
「嬉しそうだな」
「はい」
見たことないくらいニッコニコである。
もはや怖い。
もしかしてだけど半兵衛って現代でいうところのサイコパス……これ以上は怖いからやめておこう。
俺が怖がっていると、半兵衛は俺の前に膝をついた。
ちょっとそういう仰々しいのはやめてください。
「殿」
「……ハイ」
何だか緊張すんな。
半兵衛は頭を下げたまま口を開いた。
「この通り半兵衛は貴方様のもとに帰ってきました」
「戦でも勝ちを収めました」
ゆっくり顔を上げた半兵衛と目が合う。
真っ直ぐ射貫くような切れ長の目が俺を見つめる。
「……これからも殿のお役に立てること、喜ばしく思います」




