久しぶりのおじいちゃんは怖い
ほぼほぼフィクションです
「どうした喜太郎」
「…なんでもございません、殿」
会見当日である。
「馬には慣れぬか」
現在馬上である。
ちなみに殿、おじいちゃんと同じ馬の上である。
時は天文二十二年、五月である。
なんでやねん。
なんで俺が行かなきゃいけないんだ。
…
「お前もそれに同行しろ」
「え?」
なぜに?
「若は幼すぎるのでは?」
そうだよ。
いま尾張は危ないって話だったよね。
「わざわざ行く所以はないと思いますが」
「…私が言ったのではない」
父上が見たことない顔をしている。
微妙というか…なんだか難しい顔である。
眉をこう、顰めている。
「父上、殿の仰せだ」
「殿の…?」
これまたいったいなぜ。
「お前、年のはじめ以来殿にお会いしていないだろう」
まぁ呼ばれてないからね。
「何回か顔を出せと言われていたが、私から断ってた」
!!?
え!?
なんで父上が断ってんだ!?
「やはりそうでしたか…」
え、なんなの治兵衛。
「何回か大きな催しがあったのですが、若の姿を拝見しなかったので」
「確かに…いませんでした!」
二人は行ってんの?
なんで父上は俺をちょこちょこ仲間はずれにするんだ。
不満そうな顔になっていたのか先生が
「…若殿のお気持ちも理解できます」
そんなおじいちゃんやばかったっけ。
「しかし何回も断ってきたからか、断らぬよう言われてしまった」
あぁそれで
「それで私と尾張に?」
おじいちゃんかー怖いなー。
間違えておじいちゃんって呼ばないようにしないと。
まぁいざとなったら父上の近くにいればいいや。
「あと私はいけん」
え。
「な、なんで!?」
おっと思わず現代人が。
「やらねばならないことが山積みなのだ。それに…」
それに?
「父上に来るなと言われてしまった」
思ったより親子仲が深刻になってる。
最近愚痴ないからてっきりうまくやってんのかと。
「というわけで喜太郎」
「私一人にございますか…?」
流石に一人はきちぃ。
「いや、治兵衛と彦丸は連れていってよいそうだ」
良かった!!
「私たちにございますか?」
「甲斐守殿のほうが良いのでは?」
確かに。
先生は大人だしね。
「若殿」
「すまぬな長井。本当はお前に任せたかったんだが…」
おじいちゃんからNGってわけね。
「喜太郎」
「…はい」
「父上のことを信じてはならぬ。良いな」
父上からさんざん警告されたのに…
「落ちるなよ」
「ハイ…」
どうしてこうなった。
ウチを出発してすぐ、というかいつの間にか乗せられてましたね、はい。
怖えよ。
えぇ~おじいちゃんって呼んじゃったらどうしよ~とか言ってたけどそれどころではない。
とりあえずオーラが怖い。
あと思ったより若かった。
流石戦国時代。
「新九郎はどうだ。私の愚痴ばかりか」
はい、その通り!
「ソンナコトハ」
「ははっ」
でも以外といい人である。
父上と考え方は違いそうだけど、何であんなに仲悪いんだろう。
うーん家庭の事情ってやつか。
ちなみにだが治兵衛と彦丸は後ろのほうである。
彦丸は初めてこんなに遠くに来たらしく、はえーって感じの顔をしている。
治兵衛は父上に言われたからか、すごくこちらを見てくる。
そんなに見てくるなら助けてほしい。
「喜太郎」
「はい」
「尾張のうつけはどんな男だと思う?」
えぇー。
やめてよそういう質問。
俺考えるのは苦手なんだよ。
「…相当大胆にものを考える男かと」
「ほう」
「跡継ぎという立場にあって他の国にまで届く程のうつけ。なかなか出来るものではございませぬ」
「良くも悪くも大きな男になるかと」
これでどうだ。
まぁどっちつかずと言えないこともないが。
「ふっ、よかろう」
何が?
長井衛安の仮名もし知ってる方いたら教えてくださると幸いです




