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茶室の三人


「そうか、朝倉に…」


「はっ」


森部の戦いから一年。

織田信長のもとに朝倉と一色が同盟を結んだという情報が舞い込んできた。


「まさか先を超されるとはな、のう万千代」


「左様でございますな」


信長に入れてもらった茶を飲みながら、丹羽五郎左衛門尉長秀は答えた。

相変わらずその顔は穏やかなままだった。


美濃の半兵衛の予想通り、織田は浅井朝倉と手を結び美濃を攻めるつもりだった。


その時、茶室の扉の外から声がした。


「前田又左衛門、参上しました」


「……遅かったな」


扉を開けたのは前田又左衛門利家だった。

二年前の戦いまで出仕停止の罰を受けていたが、先の戦で武功を上げ復帰を許された。


「申し訳ございません!」


「まぁ良い。座れ」


短く、しかし大きな声で返事をした利家はバッと丹羽の横に腰を下ろした。

そんな若武者を見ながら丹羽は信長に問いかけた。


「しかし殿、なぜ前田殿を?」


利家は策略に長けている武将ではない。

どちらかと言えば戦場で先陣を切るような武将だ。

このような場には池田勝三郎恒興などの人の方が適しているのではないか。


「若い者の意見を聞こうと思っての、犬」


「はっ!ありがたき幸せ!」


隣の爆音に丹羽は思わず顔を顰めた。

茶室の意味がないではないか。


「誠にそれだけでございますか」


「それだけだが?」


「この万千代の目は誤魔化せませぬぞ」


「……チッ、相変わらずじゃの」


舌打ちが漏れた主を見て、思わずため息をつく。

主の顔を見て噂と違い、慈悲深そうだと勘違いする輩も多いがそんな事はない。

噂と全く違わぬ荒くれ者だ。

しかしその頭は繊細と言えるほどよく回る。


「犬の近者に浅井の者がいての、内の話を聞こうと思ったまでじゃ」


「そういうことでしたか、それならおっしゃってくだされば良いものを」


「お主はいつも儂を止めるではないか」


それは貴方様のせいでしょう、と言いかける丹羽。

いつまで経ってもこの人は…とでも言いそうな顔だ。

その顔を崩さぬまま、主に問う。


「浅井?朝倉は諦めるのですか?」


すると信長はニヤリと笑いながら丹羽の方を振り向いた。


「あぁそうだ万千代。織田は浅井と組む」


前田利家と浅井の流れは捏造です。

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