結婚…結婚かぁ
その後、父上の家臣たちも改名したと聞いた。
何年か前、上総介を助けに尾張まで出兵してた安藤日向守殿は伊賀伊賀守殿に。
六郎のお父さん、桑原三河守殿は氏家常陸介殿に。
他の人より一足先に知り合った日根野備中守殿は延永備中守になった。
どうやって呼べばいいんだ。
いや、呼び方は分かるけど。
この時代の人適応早くない?
俺いまだに半兵衛のこと治兵衛って呼ぶし、六郎のこと彦丸って呼んじゃう。
あと名字と官位セットで呼ぶ人いるけど、その人たちは日向守殿をこれから伊賀伊賀守って呼ぶのかな?
いがいが言い過ぎなんじゃない?
「若の元服ももうすぐですな」
そう言うのは数少ない名前が変わらなかった稲葉伊予守殿。
ありがてえ。
皆もそんなじゃんじゃん変えないでほしい。
「そういえば父上は何歳で元服したのですか?」
こんなに俺の元服を渋る父上はさぞ遅かろうと思って聞いてみると
「あれは私が二十二の時だったので…殿は数えで九つだったかと」
というびっくりな回答が。
数えで九つ?
数えで…九つ?
おいおいそれって八歳じゃねえか。
戦国時代でもだいぶ早いのでは?
なのに俺のはまだ早い、とか言ってんのかよ。
「その後すぐお方様とご結婚なさって…」
その後すぐ!?
え?どういうことですか父上?
そんな早くから女性を侍らせていたということですか!?
そうかでもここ戦国時代か。
でもそれにしてもじゃないか?
「焦らずとも若もすぐ元服なされますよ」
ガハハッと笑いながら伊予守殿が言う。
それも気になるけど、お嫁さんのほうも気になる。
俺が結婚か~えへへ。
でもこの時代じゃ全部政略結婚だもんな。
相手の人と絶望的に合わなかったらどうすんだろう?
そこは武士として頑張るのかな。
「伊予守殿はどうだったのですか」
「某は父と兄たちが急に亡くなりましてな、仏の道から外れ家督を継いだのです。その際、合わせて元服も」
なるほど。
「その時は十だったか、十一だったか」
みんな早くね。
俺周りだけかな。
長井先生の授業では十三、四歳くらいって聞いたけどな。
美濃がちょい荒れてたからかな。
「若、元服したあかつきにはやる事が山のようにありますぞ」
ニヤニヤした伊予守殿がこちらを向き直す。
な、何よ。
「初陣に婚姻、名も変わります。そして何年か後には殿から家督を譲られ…」
こうして考えるとやること多いな。
「それに若殿と皆からお呼ばれになります」
おお。
そういえば父上も呼ばれていたな。
懐かしい。




