ついに元服だぞ
1561年
それから二年。
永禄4年、五月。
満を持して俺は元服することになった。
十四歳、現代風に言うと中学二年生である。
ようやく…というべきなのかもよく分からない。
なんせ実感がわかない。
そんな、今から大人ですよ!って言われても…
前世でも確か十七歳くらいで死んだはずなので初・成人である。
そんな俺であるが先ほど父上から名前をもらった。
戦国時代では元服すると名前が変わる。
今までバンバン名前変わった人たち周りにいたけど遂に自分か。
俺の名前は一色龍興となった。
まぁ当たり前なんだけど誰?って感じだよね。
こんな人ほんとにいたのかな。
聞いたことないぞ。
みんなは知ってんのかな。
ちょっと都合で元服の式が早めに終わったので、俺は暇を持て余していた。
「若殿、元服おめでとうございます」
「半兵衛」
今や半兵衛も十八歳、現代でも成人である。
実は半兵衛は竹中家の当主である。
お父さん…重元殿が一年前くらいに病気で亡くなってしまったのだ。
もともと大殿との戦の時すでに体調悪かったみたい。
最近、半兵衛もようやく元気を取り戻したようだ。
「慣れましたか?」
「まさか」
全然慣れないんだけど?
若殿って呼ばれんのむず痒い。
いや、お前若って呼ばれてたやんって思われるじゃないですか。
殿がつくと、それはそれでなんか違うっていうか…
この時代の人すげえな。
「若!ではなく若殿!」
まだ適応できてない奴がここに一人。
六郎、今年で十七歳である。
「遅かったな」
「申し訳ございません、父に捕まっておりまして」
あの元気なお父さんか。
さっきも泣いてたな~
六郎は否定するだろうけど、ほんとそっくりだよね。
この…その、元気というか声がでかいというか…そういう所が。
「おめでとうございます!!」
うん、でかいね。
「お主の声はでかすぎる。もう黙れ」
おっとここでストレート半兵衛。
それはデリカシーに欠けるのでは。
もっとこう、オブラートに包んだら?
「なんだと貴様半兵衛」
君も沸点低すぎるよ。
今のは八割半兵衛が悪いけど。
「元気だな」
ふと上から低い声が聞こえた。
「父上?」
そこには父上がいた。
実のところ、さっきの式が早く終わった都合というのは父上の体調の悪化である。
最近父上は結構な頻度で体調を崩している。
この時代の医療は全然発展してないし、俺もそういう知識はさっぱりなので何の病気か分からないが、基本的に元気なので寝込むみたいなことはない。
今日も朝までは普通に元気そうだったので、式は続行したが途中で悪くなっちゃったみたい。
顔色も若干悪い。
「大事ないわ。のう、延永」
俺が心配そうな顔になっていたのか、横につき従う日根野殿…改め延永殿に振り向きながら父上は言った。
延永殿は何か言うでもなく頷いた。
なら良かった。




