久しぶりに会ったら改名してんだけど
1558年くらいを想定して書いてます
父上と大殿の戦から二年近く経った。
俺は十一歳になった。
そろそろ前世に追いつきそうな気もするな。
父上は特に変わった様子もない。
いや、全く変わってないと言えば嘘になる。
自分で政治できるようになったからか、生き生きして見える。
解放感なのか、他の何かなのか…
「若」
ん、六郎。
六郎は今や十四歳、だいぶ大人っぽくなった。
親父さんに似たのか、大きな口が特徴的だ。
「どうした?」
「若に是非合わせたい者が」
なんか怪しいな。
六郎がニヤニヤしている。
顔にこんなに出る人なかなかおらんよ。
こんなで将来大丈夫?
「…若」
すすすっと若い男が六郎の後ろから出てきた。
切れ長ですっきりとした目元、血の気を失ったような肌。
昔からの友達は最後に会った時より、物静かな雰囲気を漂わせていた。
「半兵衛!」
はっ、といいながら半兵衛は頭を下げた。
半兵衛有する岩手家は大殿方、つまり父上の敵だった。
しかし負けてしまったので、家の存続自体危うかったがそこは何とか許してくれたそうだ。
もちろん、そっからすぐ会うことはできなかった。
なので会うのは二年ぶりである。
「大丈夫だった?」
「殿の寛大なお心でお許しを頂きました。改めて申し訳ありませぬ」
そういうと半兵衛は深々と頭を下げた。
「いいよ、別に裏切ったとかそういうもんじゃないし」
元々岩手家は殿の側近ではなかったし。
しかし気が治らないのか、反省顔を崩さない。
そんなに気にするものなのか。
「じゃあ、これからは俺…ていうか父上のために頑張ってね」
「はっ」
でも単純に嬉しいな。
しばらく会えてなかったから。
「将棋しよ、将棋」
「準備いたします!」
六郎がバタバタっと部屋を出てった。
嬉しそうだな六郎も。
「なんだかんだ仲良しだね」
「そんなことはありませぬ」
否定はやっ。
そんなに嫌なの?
「友は一人で十分にございます」
「一人?」
そう言うと半兵衛は顔を上げた。
その顔は真顔だったが、若干子供っぽかった。
「元服する前、若がおっしゃてくださったではないですか」
言ったね。
そうだったね。
「でも六郎とも仲良くしたら?」
「必要ありませぬ」
頑なだな。
「私だってお前と友など御免だわ!!」
「うわっ」
将棋盤をもった六郎が襖をバン!!と開けた。
びっくりしたわ。
もう体大きいんだから、そんなはしゃがないで欲しい。
「そういえば若」
「ん?」
「某、名字を変えましてございます」
え?
そんなノリで変えられるもんなの?




