親子の絆がピンチだよ!!
まずい。
非常にまずい。
「なぜ大殿がこちらに?」
「なんだ、孫の顔を見ることも許されないのか儂は」
お父ちゃん、見たことないくらい機嫌が悪い。
よくよく考えればプライベートで大殿と父上が話しているの見たことないな。
家臣たちの前で、とかならあるけど。
大殿はふぅとため息をついた後、心底面倒くさいとでもいうような顔をして言った。
「儂の何がそんなに気に食わないのだ、全くお前は」
あなたの態度じゃない?
それしかなくない?
とは言えないので、ひとまず黙っておく。
すると父上は青筋を立てたまま静かに答えた。
「そういう所です」
「近くにいる者の気持ちを気にせず、ずかずかと…そういうところです」
い、言ったー!
言っちゃった!
「ほぅ…」
二人の間に火花が見える。
こんなにバチるとは。
子供の前なんだから自重しろよ。
大人だろ。
ふと父上がこちらをぐりん、と見てきた。
びっくりした。
「…無事か」
「喜太郎は無事にございます」
これ以上ないくらい眉を顰める父上。
「…そうか。なら良い」
ここの親子関係見ない間に悪化し続けているな。
これ大丈夫?いつか大爆発しない?
「ははっ、随分お前のことが心配なようだな」
おじいちゃんが俺の頭を撫でながらニヤニヤする。
このままだと喧嘩始まるよ。
「儂はここで帰らせてもらう。新九郎が怖いのでな」
「喜太郎またな」
そして高笑いしながら大殿は出ていった。
その後ろ姿が見えなくなったのにも関わらず、恐る恐る睨み付けていた父上に声をかけた。
「ち、父上はどのようなご用件で?」
するとふぅと悩ましげに顔を手で覆ったまま父上は言った。
「何も用件はない。なんとなく嫌な予感がしたのだ」
ははぁ虫の知らせってやつよな。
「まぁ、ゆっくりなさってください」
「いや、そのような気分ではなくなってしまった。すまないが…」
そうだよね。
ただでさえ殿になって大変なのに、大殿ともバチッているもんね。
「そうですか。またいつでもいらしてください」
「あぁ」
そう言うと父上はフラフラ出てった。
「大変そうですね」
「そうだな」
カチカチになっていた六郎が横にスススと寄ってきた。
「先日もお互い言い争ってらしたようで、父上も流石に割って入れなかったそうです」
でしょうね。
よそ様に迷惑かけるの申し訳ないな。
「しかしよろしくない状況ですね」
だよね半兵衛。
これじゃいつ絶交だ!とか言い出すか…
「斎藤のお家が一つでないと他国に知られれば必ずや攻めてきます」
あぁそっち?
もう親子喧嘩って次元じゃない?
未だに戦国の感覚わからないんだよね。
「若!」
横を見ると目をガンガンに開いた六郎がいた。
「戦が起きた暁にはこの桑原六郎直昌、必ずや若のお役に立って見せます!」
気が早いな~
まだ戦って決まったわけじゃないじゃん。
「…その時が来たらお願いするよ」
「はっ!」
来ないといいけど。




