親と子
義龍(お父さん)視点です
一から十まで捏造
その方の息子として生まれてきたことをずっと後悔してきた。
その方の血が入っているのかも、もはや分からないが。
「…殿」
「なんだ新九郎か」
夜が更けたころ、殿と喜太郎が帰ってきた。
喜太郎は疲れ果ててしまったようで祖父にあたるお方の腕の中で眠りこけていた。
「喜太郎の様子はいかがでしたか」
「ふふ、この齢とは思えぬ振る舞いよ」
お前に似たかな。
目眩がしそうだった。
当てつけなのか。
自分ではなく、違う方の息子である私への。
別に顔が似てないだとかそのような話ではない。
ただ漠然と感じるのだ。
この方は私の父ではなかろうと。
「今日は疲れた、もう下がれ」
「…はっ」
喜太郎を腕に抱えて自分の住まいに戻る。
この子もいつか斎藤の家を継ぐのだろうか。
というか継げるのだろうか。
もし私が殿の子ではないという話がこれ以上広まれば、私の立場はない。
殿には私とは別に沢山の息子がいる。
それこそ孫四郎や喜平次のような。
私が危うくなるということは嫡男である喜太郎も同じ。
殿は容赦のないお方。
殺されてしまうやもしれぬ。
「…?父上?」
あぁ起きてしまった。
「何か悲しいのですか?」
ふと自分が涙ぐんでいることに気づいた。
息子の前で泣くなど父としてあってはいけないことである。
「何でもない」
「でも…」
「父は何でもないのだ喜太郎」
床に喜太郎を下し、自分も膝をつけながらいつものように顔を触り、呟く。
「私の跡にお前を継がせること、父のただ一つの望みよ」




