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73.クレスの事情15

お待たせいたしました。本日から更新再開します!

結婚式の日の続きからです。

いきなり初夜です。いちゃラブ注意です。

 ついに、ルビナと結婚式を挙げた。


 俺の髪と瞳の色に似せて作らせた青い薔薇がモチーフのドレスに身を包んだルビナは、まさに女神そのものだった。


 美の女神だ。


 あ、もちろん神とやらに会ったことはない。


 だが、まさかこんなに近くにいたなんて。


 一日中色んな意味で緊張しっぱなしだった俺だが、本邸から来てくれていた父と母と共に夕食を摂り、疲れたからと言って早めにルビナと席を離れた。


 俺にはこのあと一番大切なイベントが待っているのだ。


 悪いが父と母にはあまり構っていられない。

 今夜は酒も飲まなかった。

 ニコラス協力の下、俺のグラスのワインはただのぶどうジュースだったのだ。


 今夜は絶対に寝落ちしてしまうわけにはいかないのだからな。



 空気の読める優秀なメイド長、メリがさっさとルビナを浴室に連れて行った。それを見て俺も湯浴みをしてしまうことにした。


 俺の方が早く準備は終わり、ルビナの支度が整うのをニコラスと共に待った。


 落ち着きなくそわそわしている俺を、ニコラスはいつものクールな表情でじーっと見つめてきた。


「大丈夫ですか? クレス様。少し落ち着いてください」

「ん……、大丈夫だ。落ち着いて……はいないかもしれないな。やはりウィスキーを一杯くらい飲んでおいた方が」

「ダメです」

「んん……そうか、そうだな」


 初めて大人の階段を上る少年のように緊張している俺に対し、ニコラスは至って冷静だった。

 今夜は緊張して食事もあまり喉を通らなかった。仕方ない。俺がこの日をどれだけ待ち望んできたか。


 迷いなく、堂々と、ルビナをこの手で抱けるのだ。


 失敗はできない。

 ヘタレなクレスは今日で卒業だ。年上として、夫として、威厳を見せてやろうじゃないか!


 ふっ……。待っていろよ、ルビナ!!



 ルビナが部屋に戻ったというのをメリから聞いて、俺も自室へ向かう。今夜からは俺の寝室で一緒に眠るのだ。


 ルビナはベッドで緊張しながら俺を待っているのだろうか。うん、さすがにルビナも緊張しているはずだ。俺がしっかり導いてやらなければ。


 ……よし!


 ドキドキと高鳴る鼓動を抑え、おほん。と咳をして気合を入れる。自室の扉を開き、最初の部屋を通り過ぎると、寝室に入る前にルビナの姿を見つけた。

 いつものように、部屋に備え付けられた小さなキッチンで紅茶を淹れているようだ。


「……ルビナ?」

「ああ、クレス。紅茶、飲むでしょう? 今日はいただいたガランガルをすりおろして入れてみようと思って。身体が温まるのよ。珍しいハーブも色々いただいたから、明日から楽しみだわ」

「うん……」


 そう言っていつもと同じ笑顔で微笑むルビナに、思わず頷きそうになってしまう。

 まぁ、寝るには確かにまだ早いから、いつものようにティータイムを楽しみたいのだろう。それはわかるが……。


 いやいや、今日はダメだ。今日だけは、俺のペースで行かせてもらうぞ。


「……クレス?」


 だから自分に気合いを入れ直し、後ろからルビナを抱きすくめて耳元で囁く。


「俺は紅茶よりも、君を味わいたい」

「…………っ」


 途端、ぴくんと肩を震わせると、ルビナの耳が赤く染まった。堪らなく可愛い。

 俯いて固まってしまった彼女の身体を抱きかかえ、そのまま寝室へ運ぶ。


「……クレス」

「すまないが、今夜は譲る気はないぞ」


 ベッドにそっと彼女を降ろし、その上に覆いかぶさって髪を梳くように頭を撫でる。


 少し不安げに見上げてきた大きな瞳のすぐ上に口づけを落とすと、ルビナもさすがに空気を読んで大人しく黙り込んだ。


 覚悟を決めているのだろう。可愛いな。


 安心させてやろうと優しく額に口づけ、そのまま目の下、鼻、唇へと降りていく。


「……ん」

「……」


 甘く、深く口づけを交わせば、ルビナは吐息を洩らしながらそっと俺の背中に腕を回してくれた。


 ……たまらん。


 密着する身体から、ルビナの高い鼓動が伝わってくる。とても緊張しているようだ。


 ……可愛い。可愛すぎる……っ!


 やわらかなその唇からちゅっと湿った音を立てて自分のを離し、彼女の様子を確認するため一度見つめ合う。


「……ルビナ」

「ん、クレス……」

「…………っ!」


 しかし、甘く蕩けた瞳で俺を見つめるルビナの表情が酷く魅惑的で、一瞬にして熱が上がった。


 今夜はたっぷり時間がある。

 だから、焦らずにゆっくりゆっくりこのひとときを味わおうと思っていたのに。


 我慢できずに彼女の首筋に唇を落とし、その白い肌に優しく吸い付いて唇をその下へ滑らせて行けば、ルビナの身体がびくりと揺れて硬直した。


 いつも余裕そうに俺を挑発してくる彼女だが、やはり初めてなのだろう。


 初々しい反応が堪らなく嬉しく、胸が疼いて仕方ない。今すぐにがっついて食べてしまいたくなる。


「大丈夫、俺に委ねてくれ」

「うん……」


 だが、初めてであろう彼女にそんなことするわけにはいかない。


 俺は紳士だ。年上だ。騎士だ。夫だ。


 ここは優しく、上品に、余裕を持ってリードしてやらねば。


 大丈夫。酒は飲んでいないし、頭は冷静。


 経験がないわけではないのだから、彼女が安心して俺に身を委ねてくれるよう、導いてやろう。


 そのためには焦ってはいけない。時間はたっぷりあるのだから、ゆっくりとルビナの身も心も解してやらなければ。


 熱を持つ息を吐いて頷くルビナにゴクリと唾を飲み、女性特有の膨らみに目を落とす。


 彼女を抱きしめる度に感じていたその温もりとついにご対面しようと、今夜のために用意された前開きの寝衣に手をかけた、その時だった。



『――クレス! 緊急事態だ!!』



 エーリッヒの声が、頭に響くように耳元で聞こえた。




すみません……。

いきなりこんな感じですが、第三章、新婚編スタートします!


待っていてくれた方、ありがとうございます。


書き溜めがあるので、少しの間はなるべく毎日更新します。

Twitter始めたので更新状況のお知らせはそちらからもどうぞ(゜▽゜)


マイペースに更新していきますので、またお付き合いいただければ幸いです!

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