第65.5話
【番外編】 キティへのプレゼント
領主の長男として生まれたキティライズ。
父親譲りの銀色の髪の毛は生まれたばかりの赤ちゃんなのに輝いていた。
ルルは初産だったがとても安産だった。
生まれたときから親孝行だとレオハルトは誇らしげだった。
レティシアは生まれてくるルルの赤ちゃんのためにプレゼントを作っていた。
不器用なレティシアだから、作れるものは限られている。
しかしレティシアが選んだのはパッチワークというとても時間と労力のかかるものだった。
いろんな端切れを縫い合わせて模様を作る。
レティシアはどうしても四つ葉のクローバーの模様をつけたかった。
女神のシンボルである葉っぱも四つ葉だった。
レティシアの前世の記憶でも幸運のアイテムという印象が強い。
特に女神がどうというわけではなかったのだが、なぜかそれしかないと思っていた。
ケリーは心配そうにレティシアを見守った。
自分にとっては初孫になる大事な存在である。その子に変なものを押し付けられても困る。
しかしレティシアが真剣で一生懸命だったので何も言わずに見守ることにした。
不器用なうえに慣れない手芸でレティシアの指は傷だらけになっていた。
それでもレティシアはだんだん形になってくるそれを見て嬉しそうにしていた。
そうして何ヶ月もかけてパッチワークのおくるみが出来上がったのである。
なんだかよれよれで縫い目はガタガタで、四つ葉のクローバーもなんだか形が怪しかった。
それでも愛情たっぷりなのはわかった。
プレゼントしたときはレオハルトは「なにこれ?」という顔をした。
しかしルルは泣いて喜んだ。
不器用なのも、飽き性なのもルルはわかっていた。
難しいことを諦めずに頑張ってくれたと思うとルルはとても嬉しかった。
「ありがとうレティ。大切なお守りになるわ。」
レティシアはこんなに喜んでくれるとは思っていなかったのでビックリしていた。
ルルに褒められるのは久しぶりだった。
レティシアはモジモジとルルを見た。
ルルはニッコリと笑ってレティシアの頭を撫でた。
レティシアは満面の笑みでルルに抱きついた。
それを見ていたツキは自分も頭を撫でてほしそうにしていた。
「次は私!!」
ツキはそう言ってカバンからミニチュアの家をドンっと出した。
「わぁ!!」
レティシアはその出来の良さに驚いた。
木でできている家には同じく木で作られた小さな家具があった。
「あのね、男の子はお人形で遊ばないよね…。」
ツキはおもちゃ屋でみつけた人形とその家がとても欲しくなったのだと話してくれた。
「そんなことないわよ。男の子だって人形で遊ぶわよ。」
ルルはそう言ってツキの頭を撫でた。
ツキは安心したような顔でカバンから次々と人形を出した。
「カイでしょ、ケリーでしょ、これがレティシアでこれが私。そしてこれがルルとハル。」
ツキは人形を次々と出した。
「すごいかわいい!!」
ルルは1つ1つ取ってその出来の良さを驚いて見ていた。
「それでね、これがキティ。」
小さな赤ちゃんの人形を見た瞬間、ルルは泣き出した。
「なんてかわいいの。」
「家族はね、離れてても家族なの。とっても大事なの。だからキティにも教えてあげたかったの。」
ツキはそう言って人形たちを家に入れた。
「これはハンナ?」
ルルは紹介されていない女の子の人形を手に取った。
「違うよ、ハンナはこっち。それとユウリも作った。ハンナの大切な家族。」
「じゃあこの子は誰なの?」
ツキはカバンから黒猫の人形を取り出した。
「この子と猫は…えっと…お友達。ここには居ないけど、大事なお友達なの。」
ルルはツキの言うことがよくわからなかった。でもツキが大事そうにその人形を撫でていたのでそれ以上、何も聞かなかった。
レティシアはその人形を見て驚いた。
そこには佐藤まゆりがいた。
そしてあの黒猫も。
レティシアがすっかり忘れていた存在をツキは今でも覚えていて、大事に思っていてくれたんだ。
レティシアは胸がギュッと締め付けられる思いがした。
ツキはまゆりと黒猫を屋根の上に置いた。
「この子たちは家に入らないの?」
「うん。この子たちはいつも見守ってるの。みんなの上にいつもいるよ。」
ツキはそう言って優しい顔で笑った。
ルルは「そっか」と言ってツキを抱きしめた。
「とっても嬉しいよ。」
レティシアとツキはかわいいキティを眺めて家に帰った。
二人は目を合わせて手を繋いで帰った。
素敵なプレゼント。
喜んでくれるといいね。
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