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第42話

レティシアとツキは湖に沈む金色のつぶつぶをみつけた。

泳げない二人はどうにかそれをすくおうと道具を作ることにした。


「小さい粒なら底の砂と一緒にバケツですくうのがいいんじゃない?」

「長い棒にバケツをくっつけてみる?」

ケリーも一緒にどんな道具がいいか考えてくれた。


結局、柄杓に長い棒をつけて砂ごとすくってみることになった。

ケリーはその場所につくと湖を覗きこんだ。

「確かに何かが光ってるように見えるわね。」

「きれいな石とかでもいいよね。」

レティシアもツキもワクワクしていた。


ケリーが長くなった柄杓をゆっくりと湖の中に入れた。

「届く?」

ツキは心配そうに見守った。

「ギリギリいけそうよ!」

ケリーはヨイショっと言いながら柄杓をゆっくり引き上げた。

中身は半分ほどになっていたがそこにある砂をすくうことができた。


「砂はそんなにないみたい。すぐに固い岩にぶつかったわ。どう?ある?」

ケリーは砂を混ぜて何かないか探した。

レティシアは前世の記憶にある砂金採りを思い出した。

お皿のような道具で比重の重い金と軽い砂をふるい分けていた気がする。


「私にやらせて!」

レティシアはカバンの中から木で作った大きな皿を出した。

「私が練習で作ったやつだね。」

ツキが木材の加工の練習で作った大きな皿だった。

レティシアはそこに砂を全部入れて湖の水を入れて揺すった。

軽い砂は浮かび上がりレティシアはそれを湖に捨てた。

何度か繰り返すと金の粒が出てきた。


「ケリー!金の粒!」

ケリーは目を丸くしてそれを見た。それはすごく小さいが美しい金色に輝いている。

「レティ、ツキ、あなたたち大手柄よ!」

二人は小さな金の粒をつまんで空にかざした。

キラキラと輝いてきれいだった。


ケリーはカイに知らせると言って家に入って行った。

二人は柄杓でまたすくってみようとしたがなかなかうまくいかない。

「魔法使っちゃダメ?」

ツキは水魔法と風魔法でどうにかなると言った。

「ハンナが二人はできるだけ魔法を使うなって言ってたもん。」

二人は見えるのに手に入らない湖の中の金の粒をみつめた。


「おい!戻ったぞ!」

レティシアは本のことをすっかり忘れていた。

「おかえり。無事に戻ってこれたね。」

「俺様を誰だと思ってる!こんなの世界一周に比べたらなんてことない!」

レティシアはパタパタ飛んでいるケンを捕まえて撫でた。


「何かわかったの?」

ツキはまだ柄杓ですくおうと頑張っていた。

「もちろんだ!城は戦争の準備でバタバタだ!国中から魔法師を集めてたぞ!ハンナも招集されてたぞ!」

「ハンナも?」

レティシアはハンナが宮廷魔法師であったのを思い出した。


ツキが魔法を使えるとバレるわけにはいかない。

《きっと兵器にされちゃう》

レティシアは想像して怖くなった。


「全然とれない。」

ツキは不機嫌になっていた。

「魔法はだめ!今はだめ!!」

レティシアは少し強く言ってしまった。

ツキは「はーい」と、ふてくされた。


ケリーはカイを湖へと連れてきた。

カイはケリーの改良した柄杓で同じようにすくってみた。

やはり同じように半分しかすくえなかった。


「なるほど。少し時間をくれ。」

カイは道具を作ると言って家に戻った。

レティシアとツキもうまくすくえないので、カイが道具を作ってくれるのを待つことにした。


────


部屋に戻ったレティシアとツキはケンから城の中がどんなだったかを聞いた。

「廊下は恐ろしく長い!床も壁もピカピカだったぞ!」

レティシアには生まれてすぐの部屋と逃げる時に通った廊下の記憶しかない。

その城も今は壊されてしまって跡形もない。


「剣術大会の試合に出ていたやつらが集まってた。騎士団に入れられたみたいだ。」

ケンの話ではレティシアが武士のようだと思ったジュウロウと、ルルの推しのセドリックと、銀色の髪のハルとあと数名、ケンには名前のわからない人がいたようだ。


レティシアはそれを聞いてなんだか心がザワザワした。

騎士団に入って戦地におくられる想像しかできなかった。


「あの銀色の髪のやつに捕まえられそうになったぞ。もちろん逃げたけどな!」

ケンはそう言ってガハハと笑った。

「ハルにみつかったの?」

「あいつはかなり魔力に敏感だな。俺様のこともすぐ気づいたようだ。」

「もう!危なかったじゃないの!」

レティシアは怒って「遠くに行くの禁止!」と言った。

ケンは反論しそうだったが、言葉を飲み込んだ。

ケンも危険だと感じたのだろう。


「レティ!ツキ!道具ができたぞ!」

カイが叫んでいる。

二人は「やった!」と湖に向かった。


────


カイが作ったのは麻袋に金属の輪っかをつけた虫取り網のようなものだった。

輪っかは重みでキュッと閉まり、砂をこぼさないし、麻袋だから水は抜けるだろうとカイは言った。


試すとなかなか性能はいいようだった。

大量の砂を取ることができた。

ケリーは家から大きな桶を持ってきて、カイはそこに砂を入れた。

3人でお皿に砂をとってレティシアの真似をして金の粒を探した。


豆よりも小さい粒がたくさん出てきた。

カイが湖から砂を取り、3人は夢中で金の粒を探した。

「楽しいわね!」

ケリーはこういう作業が好きなようだった。

ツキはすぐに飽きて釣りを始めた。


そこにルルも加わり、日が暮れるまでみんなは湖にいた。

見えるところの砂はなくなり、岩肌が見えた。

ルルは「小さい粒でも集めればいいお金になるよね?」と喜んでいた。


────


夕食はパンと目玉焼きだけのシンプルなものだった。

みんな疲れていて作る元気も食べる元気もなかった。

ツキは一人で釣った魚を焼いて食べていた。


ルルはガラスの瓶に今日の戦利品を入れて眺めた。

レティシアはツキにもらったブローチを出してそれと比べた。


「同じ色と輝きだと思わない?」

「うん、同じに見えるね。」

ケリーも覗き込み、「間違いないわね」と喜んだ。

「戦争するなら金より鉄が必要なんじゃない?」

ツキは魚を食べ終えてニコニコしてる3人に向かってそう言った。

「それはそうだなぁ。鉄を探すべきかな。」

カイは金儲けでそういったのではなく、戦争のために必要なものを集めるべきか、と言っているとレティシアは感じた。


「ツキ、そう言えばどこかに穴が開いてるって言ってたよね?」

レティシアはツキがどこかに穴が開いてると言ってたのを思い出した。

「忘れてた。でも魔法がないから掘れないよ。」

ツキはそう言って悲しい顔になった。


ツキは魔法が大好きだった。それを我慢させられているのはツキにとって辛いことなのだろう。

「ツルハシで掘るよ。ツキ、明日場所を教えてくれるかい?」

ツキは「わかった」と言って頷いた。


────


翌朝、一家総出でツキの見た穴に行ってみることにした。

穴はレティシアが滝をみつけた場所の少し先だった。


「これは確かに穴だなぁ。」

カイは岩が裂けたように開いている穴を見て「どうしたもんか」と悩んだ。

穴を広げるのはいいが、真下に落ちてしまうことになる。

レティシアは穴を見て落ちていく自分を想像した。

自分には無理そうだと思って後ろに下がった。


「この木にロープをかけて、降りてみるしかないな。」

カイはそう言うとツルハシで穴を広げた。

大きな木にロープをしっかりと結んだ。

そしてロープに小さな輪っかをたくさん作った。ここに足をかけるのだそうだ。


中は暗そうだった。ルルは魔導具を別のロープにくっつけた。そして中にゆっくりと降ろしていった。

「おっ?割とすぐに着地できそうだぞ?」

中は広い空洞になっているようで地面が見えた。

「洞窟の入口みたいだな!でかしたぞ、ツキ!」

ツキはニコッと笑ったが魔法が使えないなら行かないと言った。


「レティ、魔法を感知させない結界を張れるか?」

レティシアは「できると思う」と頷いた。

ツキはレティシアを見てニヤッと笑った。


レティシアは辺り一帯に魔力を感じさせない結界を張った。

カイはツキに「洞窟の中だけだぞ」と言った。

ツキは嬉しそうに「ウンウン」と首を振った。


そして引っ越してから初めての洞窟探索が始まった。


────


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