第16.5話
【番外編】ルルとツキの不思議な一日
ルルはツキと一緒に空を飛んで洞窟にやって来た。
とてもじゃないけど普通には来れない場所にある。
入口は狭かったが中に入ると広かった。
ツキは手の上に炎を出して辺りを照らした。
下にあった洞窟と違ってここは乾燥しているようだ。風が通っているのを感じる。
ルルは「価値のある石は地下にある」というレティシアの言葉を思い出した。
ここはかなり標高が高い場所にある。
「何かいいものあるかな?」
ルルはコンコンとツルハシで壁を叩きながら歩いた。
「生き物もいないね。」
ツキは残念そうにそう言った。
「ここは巣にするには少し過酷な環境なのかもね。」
水もないし、虫すらいない。
割とすぐに行き止まりになってしまった。
岩と岩の隙間から風がピューピュー吹き込んでいる。
「何もなかったね。」
ツキは申し訳なさそうにそう言った。
「そういうこともあるよ。」
ルルは「何もなくても探索は楽しいよ」と言ってツキの頭を撫でた。
「私も楽しい」とツキは嬉しそうに言った。
戻る途中にツキは足元の岩に何か模様がついているのをみつけた。
「ルル、これなんだろ?」
「お花?いや、葉っぱの模様に見えるね。」
ルルは人差し指でその模様をなぞった。
次の瞬間ゴトッと音がして足元が動いた。
ツキはすぐにルルを引っ張り、二人は宙に浮いた。
さっきまであった地面がない。
下を見ると大きな穴が開いていた。
「ひやぁぁあぁ」
ルルはツキにしがみついた。
暗くてよく見えない。
ツキはゆっくりと下に降りていった。
空気が冷たくなったのを感じた。
「どうなってるの?」
ルルは怖くて足元を見れないという感じだった。
「もうすぐつくよ。」
ツキはゆっくりと地面に着地した。
ルルは腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
ツキは火の玉を飛ばしてまわりを明るくした。
そこは丸い部屋になっていて、真ん中に祭壇のようなものがあった。
燭台があり、火の付いていないろうそくが立っていた。
ツキはそれに火をつけた。
すると部屋は地面ごと回り始めた。
「えっ?えぇー??」
回転しながら下へ下へと降りている感じがした。
天井を見るとだんだん離れていっているのがわかった。
二人は祭壇にしがみついていた。
ろうそくの火が風で消えた途端に回転も止まった。
「何が起きてるの?」
ツキは立ち上がりもう一度火の玉を出して明るくした。
祭壇にはさっき見た葉っぱの模様が描かれていた。
ツキはそれを指でなぞった。
するとカチッと音がして何かが開いた。
「ツキ、ここが開いたみたい。」
まだ祭壇にしがみついていたルルが引き出しのようになっている部分をみつけた。
ツキはその引き出しを引っ張った。
中には小さな葉っぱの模様のついた金色のブローチが入っていた。
「ルル、これ、レティにおみやげにする。」
「わぁ、素敵ね。」
ツキはそのブローチを取ってカバンに入れた。
すると引き出しから煙のようなものが出てきた。
二人は苦しそうにゲホゲホと咳をした。
そしてだんだん意識がなくなってきた。
同時にまた地面がグラグラとした。
地面が崩れだしたのだ。
二人は意識がほとんどなかった。
地面は崩れ、二人は瓦礫と一緒に崩れていった。
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ぽたりと水が滴った。
ルルはその冷たさに目を覚ました。
頭がズキズキする。横にはツキが倒れていた。
「ツキ、起きて!」
ツキはまだ眠いという感じで起き上がった。
「あれ?ここはどこかな?」
横には見覚えのある池があった。
「洞窟の池だね。なんでこんなところにいたんだっけ?」
ルルとツキのまわりには大きな岩がゴロゴロと転がっていて、前回来たときと様子が違っていた。
二人は「何をしていたんだっけ?」と首を傾げた。
お腹がぐぅーと鳴った。
「よくわからないけど、とりあえず家に帰ろうか。」
二人はトンネルを進んだ。
ルルの置いた照明の魔導具がある。その上が出口になっている。
地上に出ると外は真っ暗だった。
「たいへん!お母さんに怒られちゃう!」
二人は急いで家へと走った。
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家の前でケリーが待っていた。
「遅かったわね!心配したのよ。」
ケリーは「今日はお父さんはタルの町に泊まりになると思う」と言った。
「そんな時に帰るのが遅くなってごめんなさい。」
「いったい何をしてきたの?」
よく見ると二人の服は泥だらけだった。
「それが、よく覚えてなくて。」
ルルとツキは洞窟に入ったあとの記憶がなかった。
「レティがいたら服をきれいにしてくれるのにな。」
ルルは閉じたままのレティシアの部屋のドアを見た。
「お父さん、薬みつけたかな?」
「大丈夫よ。さぁ、先にお風呂に入ってきて。それからご飯にしましょう。」
ルルとツキは頭がぼんやりしたままお風呂に入り、ご飯を食べた。
それでも今日一日何をしていたのかよく思い出せなかった。
服はあんなに泥だらけだったのに体には傷1つなかった。
身体はとても疲れていたので二人ともすぐに眠ってしまった。
そして、翌日になるとそんな出来事があったことも忘れてしまっていた。
「ただいま!」
カイが帰ってきた─。
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