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第15話

レティシアとツキは洞窟へ繋がる穴を掘ってしまった。

中には狼のような毒の牙を持つ獣が住んでいた。


カイはそれが穴から出てくるのはよくないと言った。

穴を埋めるのかとレティシアは考えたのだが、カイの考えは違った。

「洞窟の中の獣を殲滅させよう!」


カイは大きな町に行ったときに防具屋に寄っていた。

見たことのない防具を身に着けて長い剣も持っていた。

「使ってみたかっただけでしょ」と、ルルに言われ、カイは苦笑いをしていた。どうやら正解のようだ。


獣がツキにぶつかる前にはね飛ばされて死んだことを話すと、

「防御魔法のようだな、いや、反撃もできる攻撃魔法の要素もあるな…。」とカイは首を傾げていた。

とにかく獣に対して有効であるから今日もツキとカイに使ってほしいと言われた。


レティシアにはどうやったかわからなくて、上手くできるか不安でしかたがなかった。

その様子を見てルルは心配になり、カイとツキ二人で行く予定だったがみんなで行くことになった。

カイは反対していたがケリーとルルに押し切られていた。


────


洞窟までの穴は小さく、下に向かってすべり台のようになっている。

ツキは広げることを提案したが、カイは洞窟からこちら側に何かが出てくるリスクを考えるとこのままがいいと言った。


レティシアは全員に《悪い者からお守りください。みんな怪我をしないで無事に戻って来れますように。》とお祈りをした。

全員の体が一瞬ふわっと光った。

「なんだかいけそうな気がする!」とルルはぴょんぴょん跳ねてみせた。

それでも不安で《敵対してくるものを倒してください》と追加で祈っておいた。


ツキを先頭に順番に穴に入っていく。

カイは防具が邪魔そうだったがなんとか通り抜けることができた。

中は暗く、少しの先も見えなかった。

カイはたいまつを持ち、レティシアは光で辺りを照らした。


アメジストがあったところにポッカリと丸い穴が開いていた。

レティシアは魔物退治よりも他に鉱石がないか探したかった。

それは多分ルルも一緒だった。みんなが武器を手に取る中でルルはツルハシを選んだ。


「さて、右に行くか左に行くか。」

カイは両方の道を照らして見た。

「獣が来たのは左だよ。」

ツキがそう言うと、「では安全な可能性の高い右の道から潰していこうか。」とカイは右側を選んだ。


洞窟はツキの掘ったトンネルと似たような大きさで暗くジメジメしていて肌寒かった。

鍾乳石が上から下からニョキニョキ生えているようで光があたり水滴がキラキラ輝いて見えた。

「大きな水溜りができてるかもしれないから気をつけろよ。」

カイは慎重に進んでいった。


目の前に大きな池が広がり、先に進めなくなった。

「きれいね。」

静寂の中、時おりポタリと水滴が落ちた。

水面に落ちた水滴でキレイな円の波紋ができる。

「こっちは異常なしだな。」


5人は来た道を戻り、左側の道を進むことにした。

ルルは出口の真下に、持ってきていた照明の魔導具を目印代わりに置いた。

出口は少し高くなっていて見落とす可能性がある。


左側の道を進むと、少し傾斜しているのがわかった。

「どんどん下に向かってるね。」

レティシアがそう言うとケリーが「滑らないように気をつけてね」と言った。

鍾乳石はツルツルしていて濡れているのでよく滑る。


道は細くなったり太くなったりしていた。

歩きにくく進むのに時間がかかった。

その時聞き覚えのある唸り声が聞こえてきた。

ツキはピタッと止まり、「いる」とだけ言った。

みんなは戦闘態勢になった。


レティシアは大きな光の玉を飛ばして唸り声の主を照らした。

そこにはあの狼のような獣の群れがいた。

「任せて!」

ツキはまるでマシンガンを撃つかのように小さな何かをたくさん飛ばした。

群れはパニックになり、バタバタと倒れていく。

獣たちはこちらに近づくこともできずにみんな倒されてしまった。


「生きてるやつがいるかもしれないから油断するな。」

カイは倒れている獣の首を目がけて剣を刺した。

全部の獣の死亡を確かめ、ケリーは魔石回収に入った。

「これだけの数がここで生きるためにはかなりの食料が必要だよな。」

カイはまわりを見渡したが他に生物がいる様な気配がなかった。


もっと奥に何かがあるのかもしれないと、さらに進むことにした。

群れの死体はツキが一瞬にして灰にした。


────


進んでいくと小さな横穴のようなものが無数に開いていた。

そこからちょろりとネズミが出てきて違う穴に入って行った。

「ネズミの巣があるみたいね。」

ルルは小さな穴を覗きこんだ。

何も見えないのでどこかに繋がっているのだろう。


《アニメだと奥には魔物のボスみたいなのがいるのにな》

レティシアは奥にいたのがネズミで少しがっかりした。


さらに進むと今度は上り坂になった。

進むにつれて鍾乳石はなくなり、苔が生えているところが見られた。

よく見ると少し明るい。

まるで窓でもあるかのように天井がポッカリと避けているのが見えた。

そこから外の光が入っている。


そしてついに外に出ることができた。

出た先はまた崖の途中のような場所だった。

「これは人間には来れない場所ね。」

この出口がどの辺にあるのか誰も見当がつかなかった。


ツキは「ちょっと見てくる」と言って飛んでいってしまった。

4人は久しぶりのきれいな空気を堪能していた。


すぐにツキは戻ってきて、「あっちに町が見えた。結構遠い。」と教えてくれた。

トンネル出口よりかなり北にあるようだった。

人間が行き来するのは難しいが、獣たちならここから出入りできるのだろうと結論づけた。


「巣にいなかった個体がまだどこかに居るかもしれないな。」

カイはそう言ったが、自分たちがここにいると戻ってこないこともわかっていた。

「戻ろう」という話になったがルルは気になる場所が何ヶ所があったと言った。

みんなが獣を警戒する中でルルは鉱石を探していたようだ。


「せっかくだから探検して帰ろう。」

カイのその言葉にルルとレティシアは喜んだ。

「あのね!さっきの横穴の近くだよ!」


5人はネズミのいた場所まで戻ってきた。

ルルの言うとおり、横穴の近くに緑色になっている場所があった。

「なんだろう?」

ルルは持っていたツルハシでまわりの岩を砕いた。


それは丸いスイカくらいの大きさの鉱石だった。

よく見ると近くにたくさんあることに気がついた。

「1つパカって割ってみる?」

ツキはまたチョップをしてその鉱石を真っ二つに割った。


中は層になっていて、レティシアは玉ねぎを思い出した。中心に灰色の握りこぶしくらいのサイズの球体があった。

ツキは少し悩んでそれも割ってみた。


「わぁ!きれい!」

中から深い緑色をしたきれいな石が出てきた。

「これってエメラルドかな。」

レティシアはまた前世の記憶にある某ゲームを思い出した。

みんなはエメラルドを知らないようだった。


某ゲームでエメラルドは村人との交易に使うアイテムでそれ自体にはそれほどの価値はないというのがレティシアの記憶だった。

しかしその輝きは美しく、吸い込まれそうなほど透き通っていた。


「なんにせよ、これは貴族に高く売れそうだ。」

カイがニヤリと笑った。

いつの間にかカイもケリーもカバンからツルハシを出していた。

みんないつでも採掘できるように準備していたようだ。


夢中になってエメラルドを採掘するみんなをレティシアは応援した。

レティシアにはツルハシを持って岩を砕くようなことはできない。

《また役立たずだな》

少し悲しくなりそうだったからできそうなことをしてみることにした。


レティシアはネズミの出てくる穴を調べることにした。

ツキはそれが気になったようで採掘をやめてレティシアのところにやって来た。

「このボコボコ開いてる穴、壊したくなるよね。」

ツキはニヤリと笑った。

レティシアはなぜかアリの巣を砂で埋めてニコニコしている小学生を思い出した。

そういう衝動に駆られることはなんとなく理解できる。


「ちょっと壊してみる?」

レティシアがそう言うとツキは嬉しそうにたくさん開いてる穴の場所を大きく削った。

ネズミの姿はなかった。

少し掘り進めるとたくさんの穴は1つの空間に繋がっていた。

チュウチュウというたくさんのネズミの鳴き声が聞こえてくる。


ネズミたちは驚いて奥に逃げて行ってしまった。

しかし奥の暗いところに2つの光るものが見えた。

「なんだろう?」

レティシアが覗き込もうとした瞬間、ツキはレティシアの腕を引っ張り後ろに突き飛ばした。


2つの光はジリジリとこちらに近づいてくる。

「でっかいネズミだね。」

驚いて声も出せないレティシアの横でツキはニヤリと笑っていた。


────


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