表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『残響の夜に、断れなかった』  作者: こうた
第2章「朝が裁かれる」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/46

第13話「友の消え方」

スマホは、もう鳴らなかった。



---


鳴らなくなったことに気づいた時、相沢は少しだけ遅れて理解する。



---



---


“止まった”のではない。



---



---


“止められた”のでもない。



---



---


“必要がなくなった”だけだ。



---



---



---


部屋の中は静かだった。



---


外の音だけが遠くにある。



---



---


時間が、薄く伸びている。



---



---



---


そのとき、画面が一度だけ光る。



---



---


知らない番号ではない。



---



---


直樹からだった。



---



---



---


通話を開く。



---



---


「……もしもし」



---



---


少し間が空く。



---



---


直樹の声は以前よりさらに淡い。



---



---


「警察、また来た」



---



---



---


相沢は黙る。



---



---



---


「俺らのことも、結構細かく聞いてる」



---



---



---


その言葉で理解する。



---



---


関係はもう“参考情報”になっている。



---



---



---


「俺はさ」



---


直樹が続ける。



---



---


「正直に出しただけなんだよ」



---



---



---


言い訳ではない。



---



---


整理だ。



---



---



---


「でも、結果的にさ」



---



---


少し間が空く。



---



---



---


「お前だけが、はっきり残る形になってる」



---



---



---


その言葉は優しさではない。



---



---


事実の説明だった。



---



---



---


相沢は少しだけ目を閉じる。



---



---



---


「……そうか」



---



---



---


直樹はそれ以上言わない。



---



---


そして静かに付け加える。



---



---



---


「もう、普通には戻れないと思う」



---



---



---


通話が切れる。



---



---



---


次に鳴ることはない気がした。



---



---



---


その夜、相沢はふと昔の飲み会を思い出す。



---



---


笑っていた。



---



---


声が大きかった。



---



---


誰かがいつも隣にいた。



---



---



---


でも今思うと、


誰も“隣にい続けたわけではない”。



---



---


ただ“その場にいた”だけだ。



---



---



---


責任が発生した瞬間、


人は順番にいなくなる。



---



---



---


翌日。



---



---


メッセージはもう増えない。



---



---


通知も減っていく。



---



---



---


代わりに残るのは、


静かな既読の履歴だけだ。



---



---



---


相沢は理解する。



---



---


これは裏切りではない。



---



---


社会的な自然現象だ。



---



---



---


関係は壊れたのではない。



---



---


“維持できなくなった”だけ。



---



---



---


そして最後に残るのは、


一人の名前だけになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ