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『残響の夜に、断れなかった』  作者: こうた
第2章「朝が裁かれる」

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第7話「空席になる関係」

ニュースが出てから、世界の反応は早かった。



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しかし一番早かったのは、人ではなく“関係の消失”だった。



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スマホが鳴る。



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着信は、健からだった。



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一瞬止まる。



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出るかどうか迷う時間すら短く感じる。



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通話ボタンを押す。



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「……おう」



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健の声は、いつもより少し軽い。



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だがその軽さは、意図的なものだった。



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「見たわ、ニュース」



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相沢は何も言えない。



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「まぁ……大変やな」



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少し間が空く。



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その“間”がすべてを変える。



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「でさ」



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健が続ける。



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「俺らも、ちょっとまずいことなっててさ」



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その言葉で空気が変わる。



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「警察から連絡来たわ」



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相沢の手が少し止まる。



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「“同席者”としてな」



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それは予想していたはずの言葉なのに、


現実になると重さが違う。



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「別に俺は普通に話しただけやで」



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健は笑うように言う。



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だがその笑いは弱い。



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「ただな」



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少し声が落ちる。



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「もう今までみたいには無理やと思うわ」



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その一言で分かる。



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関係が切られている。



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でも直接切るのではない。



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“距離を取る形で切る”。



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「また落ち着いたらな」



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健はそう言って通話を切る。



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次に鳴るのは隆だった。



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短い。



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「すまん」



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それだけ。



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そして直樹。



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「必要なら証言は協力する」



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ただそれだけ。



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翔は電話に出ない。



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優斗はメッセージだけ。



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> 「ごめん。今は何も言えない」





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相沢はスマホを置く。



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部屋が静かになる。



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たった一晩で、


“いつものメンバー”は消えた。



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正確には消えていない。



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だがもう、


同じ場所にはいない。



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相沢は理解する。



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これは裏切りではない。



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防衛だ。



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人は責任が現れると、


関係を“薄くする”ことで生き残る。



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机の上に、


昔の写真がある。



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笑っている5人。



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もう戻らない構図。



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相沢はその写真を見て、


何も感じなくなる。



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感情ではなく、


記録だけが残る。



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そして初めて気づく。



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自分は事故を起こしたのではない。



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“関係の維持構造”ごと壊したのだと。



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