第十七話
あれから、3ヶ月が経った。
あの日、みんなで街に行ったことは帰った時にヴィが私の屋敷にきていたことでバレてしまった。
ひどく心配はされたけど、怒られることはなかった。
元々ヴィに怒られる心配は特にしていなかったので、恐れる必要もないのだけれど。
ヴィは確かに私の身を案じてくれているけど、何も私を縛り付けたいわけではないから。
ミアとも、とてもいい関係を築くことができており、よく令嬢だけで集まり、みんなで恋バナをしていたり、ヴィたちも含めてピクニックやショッピング、街歩きなどにも出掛けている。
「僕といるのに他の人のこと考えてる?」
隣から降ってくる拗ねた声にふと我にかえる。
今は、ヴィと一緒に王城の裏にある湖でピクニックをしながらランチタイム。
「皆さんのことを考えていました。お友達が増えて、私嬉しいんですよ?」
「エレが楽しそうにしているのは知っている。そんなエレを見るのも楽しいけど、僕といる時だけは僕のことだけ考えて。」
拗ねたように縋ってくるヴィが可愛くて笑ってしまう。
「今日は特別ですよ?」
シートの上でお行儀よく座っている足を少し崩して自身の足を軽く叩く。
そうすれば、ヴィが驚いているのを空気で感じる。
「どうぞ。」
そう言って、足に重みが乗るのを待つが、なかなか一向に重みがこない。
ようやく重みが来たかと思えば、遠慮がちに少しのせてきただけ。
「いいんですよ。もっとしっかりのせてくれも。」
「こんなこと、僕以外にしたらダメだからね?」
「わかっていますよ。ヴィ以外にはいたしません。」
ようやく、足にヴィの頭の重みを感じ、その頭を撫でる。
柔らかい猫っ毛なかみがふわふわと指に絡んできて楽しくなる。
「ヴィの髪はふわふわですね」
「僕はエレのサラサラな髪が好きだよ。」
今日は長く伸びた髪をまとめていない。
下を向いて落ちていく髪をヴィがくるくると遊んでいるのを感覚で感じる。
手入れが行き届いていてサラサラな私の髪は巻いてもあまりもちがよくなく、普段はまとめているか、下ろしているかの二択でいることの方が多い。
それから少しの間、ヴィの髪を楽しんでいたが、ついに足に痺れを感じ始めた頃、ヴィが頭を上げた。
「エレ、ありがとね。次は僕の番。そのまま寝転んで。」
言われるがままに少し痺れている足を庇いながらも、寝転べば、ちょうどいいところにヴィの足があった。
「お嬢様、失礼致します。」
次女の声が聞こえたかと思えば、足の下にクッションのようなものを置かれる。
「痺れさせちゃってごめんね。でも、嬉しかったよ。」
バレないようにしたつもりではあったが、やはりヴィに隠し事をすることは難しいらしく、バレてしまった。
「私がしたくてやったことなので、気にしないでください。」
そう返す私の髪を、先ほどの私みたく遊ぶヴィの指はひどく優しく、安心感があった。
暖かなお日様の温もりと、静かに揺れる水面の音、そして、直接感じるヴィの温もり。
それらのおかげで、抗えない眠気に襲われる。
「少しお昼寝しようか。」
そう言って、髪で遊んでいた手で私の頭を優しく撫でていく。
暖かい温もりに抗うことはできず、私はそのまま意識を落とした。




