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盲目少女は転生者  作者: シルクティー


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第十四話

ランチタイムを終え、午後の授業を受けるために教室に戻る。


「お二人とも、おかえりなさいませ。ずいぶんギリギリのお戻りですね。」


教室に入るなりアレクに出迎えられる。


「もうすぐ、授業始まるよ。」

「思ったよりギリギリになっちゃったね。エレは座ってて、準備はしておくから。」


いつも通りにヴィに座るように促され、席につく。


「殿下とずいぶん楽しいお時間を過ごされたのですか?」

「え?どうして?」


隣のリリアナ様にそう質問されるが、これといって特別な時間を過ごしたような記憶はない。


「殿下のお顔が先ほどとは打って変わって満足そうにしてらっしゃるので。何か特別なことでもあったのかなと思いまして。」

「いいえ。少し嫉妬していた殿下を落ち着かせていただけですよ。」


そう説明していれば、反対側から「エレ」と声をかけられる。

”いらないことを言うな”とでも言いたげな声だ。

そんな彼にくすくすと笑ってみれば、少し鋭めの視線を感じる。


「さあ、そろそろ先生も来ますので静かに待っていましょうか。」


遠くから先生の足音を感じたので、そう伝え、ヴィの視線をスルーする。


「じゃあ、続きは放課後、王城でね?」


そんなことを伝えられ、私にあったはずの余裕がなくなる。


今日は王城には寄らずに自宅に帰る予定だったから、少しヴィで遊んでいたのに。


「今日は、王城に行く日ではないですよね?」

「さ、先生が来たから、静かにね。」


それを言われてはこれ以上騒げない。


「エレオノーラ様の負けですわね。」


リリアナ様からそう茶化され、少し眉を下げて反応する。



その後の授業はあまり頭に入ってこず、気付いたら最後の授業が終わってしまっていた。



授業が終われば問答無用でヴィに連れられて馬車に乗せられていた。


「ヴィ?今日は王城による日ではないはずだけど・・・。この馬車が向かっているのは私の自宅でしょう?」

「エレは本当に僕がランチの時で満足してると思ってるの?」


ああ、これはダメな時だ。


「わかりました。諦めましたわ。」


そう伝えれば、満足したように笑うヴィの声が聞こえる。


ここ最近、すごく諦め癖がついてきてしまっている。

ヴィのことに関してだけだけど。



王城につけば、いつもとは違い馬車から降りても降ろしてはくれず、ようやく地に足がついたのは執務室についてからだった。


「なぜ降ろしてくれなかったのですか。たくさんの人がいたはずです!」


目が見えなくなってからそのほかの感覚がとても鋭くなっているおかげで、私の耳はどんなに小さな声でも届いてしまう。


ここにくるまでにメイドや文官、そのほかにも護衛にあたっている騎士にすら見られていた。


「だんだん赤くなっていくエレが可愛くてね。」

「かわいくなんてありません!本当に恥ずかしかったんですからね」


怒っていることを伝えてみるが、笑う殿下には一切伝わっていないらしい。


「まあ、とりあえずティータイムにしようか。」


ヴィはメイドを呼び、ティーセットを準備させる。


見えない私のためにメイドたちはいつもメニューを教えてくれる。


「ことごとく私の好きなものばかりですね。ありがとうございます。」


甘い生クリームはあまり得意ではないのを知っているので、用意されるものはいつも決まってフルーツやチョコレートの類ばかり。


「今日は何から食べたい?」

「今日はイチゴの気分です。」


食べたいものを答えれば、ヴィがお皿にとってくれるので、手を広げて待つ。

でも、いつもならすぐにある感覚が一向にこない。


「ヴィ?」

「エレ、口開けて。」


とても嫌な予感がする。


「今日のヴィは悪ふざけがすぎます。」

「悪ふざけじゃないさ。可愛いエレを堪能したいだけ。だから、ね?あーん」


メイドたちがまだ室内にいてくれればもっと抵抗しやすかったのだが、セットを終えたメイドはみんな退室してしまっている。

ここに暴走ガチのヴィを止めれる人間はいない。


「わかりました。一度だけですよ。」


釘を刺してから小さく口を開ければ一口大のイチゴが入れられる。


「んん!とても瑞々しいですね。でも、いつもより甘く感じます。」

「庭師が品種改良に成功して、ようやくエレに出せるって胸を張ってたよ。これと今まで、どっちが好き?」

「まぁ、そうなんですね!うーん・・・。どっちも美味しいけど、私は、さっぱり甘い今日のイチゴの方が好きです。」


品種改良を頼んだ記憶はないが、おそらくヴィが私がこぼしてしまった言葉を拾ってしまったのだろう。

さっぱりさはどちらも変わらないが、今日食べたものの方がイチゴの甘さがより出ていて、とても私好みの味だった。


「わかった。庭師に伝えとくよ。」

「庭師の方にもお礼を言いたいですね。」

「だめ。これ以上他の男と話すのは我慢できそうにないから。」


お礼を伝えたい旨を伝えれば即刻拒否される。


元々殿下は私が城に従事している人たちと話すことにいい顔はしていない。

それに、私が1人で城内を歩くことも絶対に許してはくれないので、諦めるしかなさそう。


「じゃあ、しっかり伝えてね?」

「ああ、わかったよ。」


でも伝言を頼めば必ず伝えてはくれるので妥協はできる。


「他のフルーツも美味しいよ。はい、あーん」

「一度だけと伝えましたよね?」

「うん、言っていたね。でも僕は、了承はしてないよ。」


これまた屁理屈。


「もう、1回も2回も変わらないよね。」

「わかりました、もう私の負けです。ですが、2人の時だけにしてくださいね?」

「わかったよ。」


今回ばかりはしっかりと言質はとった。

2人だけならまだいいだろう。他の人がいなければ。

そう自分に言い聞かせて恥ずかしさを捨てることにした。



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