第十五話
「さあ、今日は邪魔な殿下がいないので、たっぷりエレオノーラ様を独占させてくださいな」
「今日の皆様の護衛役はお任せください!」
「ふふ。みんな、はしゃぎすぎないようにね」
「エレオノーラ様!お久しぶりです!」
「え、本当に私ここにいていいんですか?」
「今日は女子会ですね!たのしみましょう!」
今日は朝から城下町に降りている。
殿下なしで城下町に降りるのは初めてだった。
リリアナ、レイナ、エリス、シーナのいつものメンバーに加え、ミアも一緒だ。
リリアナに迎えに来てもらい、共に馬車に乗って街まで連れてきてもらった。
「ミアさん、城下町のこと、たくさん教えてくださいね。わたくしたちはあまり慣れてはおりませんので。」
「私にわかることならなんでも教えます!」
「楽しみですね!」
「どこから行きましょうか。」
私たちは基本城下町の貴族向けのお店にしかいくことがなく、平民たちが生活している部分はいったことがほとんどない。
だからこそ、城下町に興味を持ったリリアナがミアを案内役に抜擢して誘っていた。
「それにしても、エレオノーラ様。今日街に出ることは殿下は知っていらっしゃるんですか?」
そう。問題はそこなのだ。
私はシーナの質問に静かに首を振った。
「え!?」
「エレオノーラ様、本当ですか?」
「よく出てこれましたね!」
「え、それって大丈夫なんですか?」
今日ここに私を連れてきたくれたのはリリアナ。
私も、前日に行くことを知らされた。
元々彼女たちが城下に行くことは知っていたが、私はヴィがいる限り難しいので、楽しそうだなと他人事のように聞いていたのだが。
「私も、どうなるのかは怖くて考えないようにしています。」
「あらあら皆様。簡単ですよ。殿下の裏をかいてしまえばいいんですよ。」
1人明るい声が響き、みんながそちらを見る。
「ですが、少々手こずりましたわよ。殿下は暇さえあればエレオノーラ様のそばにいるので、まずは殿下のスケジュールを知らないといけなくて。ですが、少し悩みそうなことを投げてみればしっかり引っかかってくれましたわ。」
にこやかな声でそう告げる彼女はとても策士だった。
ヴィに仕事を投げて、私の元に来れなくすることなんてそう簡単にできることじゃない。
それに、彼が悩むことがあることにも驚きだ。
でも、ここで分かったこともある。
リリアナだけは絶対に敵に回したくない。
策士は味方につけといてなんぼだ。
「まぁ、今日は殿下が来ないらしいので、目一杯楽しみましょうか」
「はい、よろしくお願いします。」
今日はエリスに手を引かれて歩き進めていく。
「じゃあまず、カフェにでも行きますか?おすすめのお店があるんです。」
ミアのその一言でみんなの興味は城下町に移った。
楽しそうにどんなメニューがあるのか話している内容を聞いているだけで楽しくなる。
「フルーツ系かチョコ系があるといいですね。」
「はい、楽しみです。」
エリスと話をしながら歩いていれば、「いらっしゃいませ」と明るい声が聞こえてきて、お店に着いたことがわかる。
店内は賑わっており、女性の声が多く耳をすませば見た目もこだわっているらしい。
「あ、エレオノーラ様、フルーツタルトがございますよ。色々種類がございますが、何がいいですか?」
席につき、みんながメニューと睨めっこを始める。
ラインナップを聞けば、いちごにメロン、白桃、マンゴー、オレンジなど、幅広く置いているらしい。
だが、やっぱり一番好きな苺を食べてみたい。
「じゃあ、苺タルトをお願いします。」
みんなも悩みに悩み抜いて少し時間をかけながら注文していた。
注文を済ませ、出来上がりを待っている間も、女子たちの話題は尽きない。
「ここのお店はずっと前からあるんですか?」
「いいえ。できたのは去年くらいで、すごい人気で初めは並んでも食べれるかわからない時期もあったんですよ。」
「あんなにフルーツがたくさん乗っているのに本当にメニューに乗っていた料金でいいんですの?」
周りの甘い匂いに、お腹が空いていたわけではないのに食欲が刺激され、お腹が空き始める。
「そういえば、以前から王城の庭師がイチゴの品種改良を重ねて、ようやく満足のいくものができたと聞いたんですけど、いかがでしたか?」
「ああ、この間いただきました。みずみずしさを残しつつ、甘さが増していてとっても美味しかったです。」
「殿下が庭師にあれこれ指示を出しているのを見かけたことがありました。」
「殿下の頼みとあれば、庭師も完成させるしかないですもんね。」
なぜだか王城に出入りしている貴族たちにも知られていて少し恥ずかしい。
「殿下はエレオノーラ様の好きなものについては妥協をしませんからね」
「最近は言葉に気を付けています」
何も考えずに言葉を発すれば、ヴィに拾われて周りに負担がかかることを流石に学んでる。




